俺は、耳まで真っ赤な石田を抱き締めたいって思った。素直に、ただ抱きしめたいって……そうやって抱き締めたら気持ち少しでも伝わるかななんて思った。
今まで、血を飲んでた石田がエロくて理性飛んだだけだけど、今は石田のクセに、可愛い……とか言ったら殺されかねないから黙っとく。
「黒崎、君は相変わらずだな」
我慢するつもりもないから、肩を抱き寄せると、石田は簡単に俺の胸に倒れ込んだ。
薄い肩がから力が抜かれて、俺に体重がかかる。その重さが、やけに嬉しかった。
「何が?」
「人の話は最後まで聞けよ」
「ん?」
「だから……その、交換条件だって、言われて……だから……僕は、」
石田の手が、俺の肩を掴んでる。
その手が、わずかに震えてた。それも、すごく嬉しかった。
「ん? ちゃんと聞いてるぜ?」
「やっぱり、聞くなっ!」
「んだよ!」
「うるさい。僕だって我慢してるんだ。黒崎、僕に血をくれるのか? くれないのか?」
「うわ、俺の身体目的?」
「身体の中身目的だよ!」
そう言いながら石田は俺の身体にのしかかってくるから、俺はベッドに押し倒されてみた。
なんだか、積極的な石田って……それはそれで、美味しいと思う。
石田が俺の上で首筋を舐めてる。猫みてえ。
欲しいって合図だって解る。今まで喋ってても、声が震えてたの、興奮でってだけじゃなかったはずだ。
俺の血が飲みたくて、ずっと我慢してたの、解る。吸血鬼なんてなったことないから解んねえけどさ、でも俺の血が好きなんだろ?
石田が欲しがってるもん、俺が持ってんなら、何でもやるよ。血が欲しいなら、いくらでもあげるって。
「……いいぜ。石田なら、俺の血飲んでいい」
頭を撫でると、黒い髪がさらさらとした。
俺の血なら、いくらでもやりたい。俺から石田に何かやるのは、すげえ嬉しい。他の奴じゃ駄目だ。石田が他の奴の血を飲むだなんて考えただけでも、嫌だ。
でも、俺のならいい。いくらでもいい。俺が干からびるまででも、与えたいって思うくらい。
「……うん」
そっと、石田が俺の首筋にキスを落とした。そして、皮膚にちくりと痛みが走る。注射よか痛いけど、我慢できない痛みじゃない。
それから、石田の舌の感触にぞくぞくする。
石田の舌が、俺の首を這う。
「うまい?」
「うん……美味しい」
舌を這わせる石田の身体が、俺の身体に絡む。石田の重さが、心地好い。重いけど、やっぱり平均的な体型よりも薄い石田の重さぐらいは大したことはない。
石田のぬるりとした舌と、熱い吐息かかって……。
やっぱり惚れてる奴が俺の上でそうやってんの……我慢できる奴なんか居るのか?
先月、飲んでないけど、血を飲んだ次の日は霊圧が強くなってんだ。
普段から抑えて暮らしてるらしいけど、なんか霊圧を光にしたら、漏れてる強くなってるような感じがする。あんまり霊圧を感じる才能ないから、感覚でしかわかんねえけど、俺ですらわかるんだから、きっとそうなんだ。
石田が俺のこと好きとか、やっぱりそんなのは錯覚で、石田が無自覚で強くなりたくて霊圧食ってんじゃねえか?
もしかしたら、そっちの方が正解なのかもしれないけど……
別に、どっちでもいい。
石田が俺のこと好きだって言った。
それでいい。
理由なんて、結局どうでも良くて、俺は石田が欲しかった。石田に笑って欲しかった。石田が俺のもんになって欲しかった。ただ、それだけ。
もし石田が俺の霊圧だけが目当てだったとしたって、もう誰にも渡すつもりない。
だから、どっちでもいい。
「君は……いいのか?」
「お前が満足してからでいいや」
お前の俺への気持ちが錯覚でも、お前の特別なんだ、俺は。
お前が一番必要なの、俺だろ? 俺は、どうやら霊圧だけは強いみたいだし。だから、石田が俺を必要だったら、それだけだって嬉しい。
だからさ。
他の奴によそ見すんじゃねえよ?
「君は……触ってくれないの?」
顔を上げて、石田は俺の瞳を覗き込んだ。
妖しく赤い瞳は、誘うように潤んでいた。
相変わらず……酔っ払いかよ。血を飲んだ後は、やたらと機嫌がいいのは、いつもの事だけど。
いや、両想いで良いんだよな?
石田が俺のこと好きだって言ったのは、ちゃんと声まで覚えてる。何度でも頭の中で再生できるけど……今、俺達両想いになったんだよな?
「お前、こっちが必死で我慢してやってんのに」
「我慢なんかするなよ。君らしくない」
駄目だ、今コイツは酔っ払いだ。普段じゃ、絶対無理だろ?
好きだなんて気持ちだって、血が欲しくてそんな錯覚起こしてるだけかもしんないけど。
それだっていいや。
今はお前に必要とされてるって、それだけでいいや。
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20111227
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