【Full Moon 】 11

こちらの話には性的な描写があります。18歳未満の方、苦手な方の閲覧はご遠慮ください。



















 黒崎は僕の返事を待たずに、僕のベルトを外して……服を脱がされてしまっていた。
 僕の下半身は外気に晒され、その中で、恥ずかしいくらいに立ち上がった僕のは、充血して真っ赤になっていた。

 先端から……透明な体液が、溢れている。

 何でこんな事になっているんだ?
 覚束無い思考では現状把握が限度で、それに対しての対処法など到底思いつかない、ただ視線に晒されて、とても居心地は不快だった。


 ただ、そこが示すように、僕は、興奮していた。見て、実感した。皮膚がざわざわとして、感覚が鋭敏になる。空気が触れる事すら刺激になるほどに。僕は……黒崎の血を舐めて、興奮していた。




「……黒崎?」

 黒崎も、何かを欲しいと言った。僕が黒崎に何をあげられるんだろう……。
 君は、何を、したい?
 僕は何をすればいい?

 君が僕にくれるなら、僕は君の為になんでもしてあげる。君が僕に君の血をくれるなら……。




 黒崎は僕の足の方でむき出しになった場所を見ていたけれど……

 一瞬、黒崎は僕を見た。

 そして、すぐに……。



「っあ……や、ぁっ、」


 黒崎が、僕のを、口に含んだ。
 ぬるりと暖かい感触に包まれた。


「あぁっ……やだ、黒崎っ、黒崎!」


 迎え入れられた口腔内は温かく濡れていて。それだけで、僕は限界に近くなる。
 何が……起こっているんだ?


「黒崎っ……やっあ、あ」


 黒崎は、今何をしているんだ?
 僕のを………それは、わかる。

 何で、僕のを?


 驚愕するはずの事態だって、頭では解っていたはずなんだ。

 今、何が起きているのかは把握できてはいる。
 何をしているんだって、そう怒鳴りつけるのが、本来の僕なんだろう。

 想定外の出来事に頭が対応しきれない。いつも血を飲んでからは、芯がなくなってしまったかのように、緩い波の中に漂う意識に飲み込まれてしまうから……。

 考えるよりも、それよりも……溶ける。
 溶けて、しまう。

 黒崎の口の中で僕が溶かされてしまう。


「ふ……ぁん」


 黒崎にこんな事やめてほしくて、そんな場所……黒崎の頭を剥がそうとしたけど、力が入らない。指先も思うように動かせなくて、ただ黒崎の頭に手を乗せただけになってしまう。
 初めて、触れた黒崎の髪は、思ったよりも柔らかい手触りなのだな、と関係の無いことは思ったのに、言いたい言葉が出てこない。

 逃げようとしても、力が入らないし……それに、僕の腰を両手で掴んでいるから……動けない。僕が身体を捻ったって、びくともしない。

 どうしよう。


 僕の腰は黒崎の手で固定され、黒崎の舌が僕を舐める。ぬるぬるとしたその感覚に包まれて僕は溶かされる。

 羞恥よりも……僕はもっと……。




 暑い。
 身体中が暑くて、熱い。


「や、黒崎……出ちゃう」


 もう……限界。

 このままじゃ、黒崎の口に出してしまう。


「黒崎っ……放せっ……放して!」


 黒崎が、キツく僕を吸った。




「は、ぁっ………!」






 上り詰めて、意識が上空で、弾けた、ような、気がした。弾けて拡散し、空気中に広がり溶けていく。







 何だ……これ。







 部屋中に拡散した意識が収束し、身体がようやく重力を感じて、僕は自分がベッドに沈み込んでいた事に気付いた。






 ……黒崎が、僕の、を。

 口に、入れた。




「石田………」


「黒崎……ごめん」

 君が放してくれないから、君の口に出してしまった。

 離せって、僕は言ったんだ。
 そう、頼んだのに……何で……。




「俺も、ごちそうさま」


 僕は、恥ずかしくて、情けなくて、それで……でも我慢できなくて、そんなので、泣きたいくらいなのに。
 黒崎は、笑顔で僕の顔をのぞき込んでいた。

 ………そう言えば、黒崎が吐き出した気配はない。


 飲んだ?
 飲んで、しまったのだろうか。












20111023