帰るとすぐに、ドラコは僕に駆け寄って抱きついた。僕を抱き締めてくれるから、僕はそれ以上の想いを込めてドラコを抱き返す。僕の方が想いが強いんだ。

 いつも通り。

 今日がいつもと同じで涙が出そうになる。

 愛しい。

 愛しくていとおしくて、僕はおかしくなりそうなんだ。

 暖かいドラコの体温をを僕はもっと感じたくて、もっと抱き締める。

 もっと君を感じさせて。


「ハリー、会いたかった」

「僕もだよ」

 相変わらず、細い、華奢なドラコの身体。もしかしてまた痩せた?
 こんな生活をしているんだ、仕方がないかもしれない。もともと彼はあまり丈夫ではなかった。こんなことをさせてしまっているんだ。



「お前に会えない時間は、何でこんなに長いんだろう」

 寂しい想いをさせてしまっているんだ。
 僕はそのことにすら満足を覚える。それを、罪悪感に思う。そしてそれが嬉しいんだよ、ドラコ。
 君は知っている?


「僕も、そう思っていたよ」

 君に会えない時間は何をしていたって落ち着かない。

 愛しているんだ。


 ずっとこのままでいようよ。君はやっぱりずっとここにいて。
 終わりなんて来なくていい。



 ドラコね素肌に触れたくて、僕は彼のシャツのボタンに手をかけ、唇でその感触を確かめるようにドラコの首筋にキスをする。
 湿った艶を含んだ吐息が僕の耳を掠める。


「ハリー……食事がまだだよ」

 笑いを含んだ声に、僕はそれでもドラコを放せなかった。だってずっと触れたかったんだ。


「ああ、ごめん。お腹が空いたでしょ?」

「別にお腹が空くようなことはなにもしていないから………だから……」


 ………しよう。




 僕の耳に囁きを吹き込まれる。
 僕はそれだけで熱くなる。従順で、いやらしい君。


 僕がそう仕向けた。

 ドラコがそうなるように、僕が仕向けた。僕だけの虜になればいいんだ。

 君が僕から離れられなくなればいい。

 君が僕から動けなくなればいい。ずっとここにいてよ、ドラコ。君が好きなんだよ。


 ボタンを一つ外すごとに僕達はキスを繰り返す。



 ねえ、どこにも行かないで。
 ずっとここにいて。
 僕から離れないで。



 君に会えない時間は苦痛なんだ。ここにいて。


 お互いに、触れ合いそうに近い場所で見つめ合う。


 好きなんだよ、君が。


 ずっと君に想いを伝えたかった。

 ああ、僕は今なんて幸せなんだろう。

 ドラコに会えてこうやって彼を抱き締めることができる。どんな手段でも君の気持ちを僕に閉じ込めておくことができる。

 ずっと僕だけのものでいて。





「お帰り、ドラコ」




「ハリー、ただいま」


















080626