ってことで、ドラコが監禁ネタ。
本当は124536の順番で書いてたから、途中どこ更新してんのかわかんなくなって、焦った。
幸せになってくれよー。
相変わらずおまけ文(H)↓ 暇でしたらどぞ。

とりあえず、ハリー視点が1・2・4・5・7
ドラコ視点が3・6ですた。


















 僕は、全てを無くした。









 戦いで、僕の魔力は全て使い果たしてしまった。
 僕には何も残されていなかった。
 親友達はそんな僕でも受け入れてくれたけれど、魔力すら持たずこの世界では何の役にも立たない僕は、負い目と引け目だけを感じていたんだ。

 それでもマグルに行く気にはならなかった。生まれた場所は僕にはもう馴染みのない、不安定な場所になってしまったように感じていた。あっちで暮らす気にもならない。

 ぼくはどこでもない。
 どこにいなくてもいい。


 僕には何もなかった。

 ただ時間を持て余して、どうにか夜がやってくることが人生になった。ホグワーツにいたころは、毎日が足りなかったのに。

 僕は誰とも会わずに暮らした。
 どうせ何にもないんだ。

 死ぬのと生きるのとの間の苦痛に隔たりすらないように思えたくらい、僕は時間を浪費するためだけに生きていた。老いすら待ち遠しかった。








 だから、君の瞳を見た時は嬉しかったんだよ。

 ずっと綺麗な宝石のようだと思っていたんだ。
 僕が手に入れるはずのないもの。
 僕と一番相容れない場所にいる彼。ドラコ。綺麗な、宝石みたいな、僕の敵。

 ずっとドラコからの視線の裏の意味に気付いていた。それに応えることなんか僕には許されていなかった。きっとドラコもそれを知っていたから、視線に含ませるだけで、その態度は嫌悪だった。僕以外誰にも気付かれることはなかった。
 気付かれてはいけなかった。だって君はマルフォイなんだから。


 マルフォイも、全て無くした。家もなくなった。彼に残されたのは、彼の学生時代の優秀な成績だけ。マルフォイ以外で生きなきゃならなくなったんだ。

 可哀想に。

 自由に生きられるようになったんだ、良かったじゃないかなんて、なんの慰めにもならないよね。だって君はドラコ以上にマルフォイとして生きてきたんだから。自由は解放ではなく世界からの追放を意味したんだ。君の世界は瓦解した。
 死んだ人だっていた。僕の大切な人も死んだんだ。
 でも、生きてただけでも良かったねだなんて、そんな軽いことが言えないくらい君が絶望を感じていることくらいは知っていたよ。

 君が僕を奪いに来た時、君の視線に再び触れた時に僕は心臓は確かに鼓動していた。それを感じたんだ。

 僕達が生きる世界がなくなってしまったんだってことを。

 君となら……。


 君からの視線が僕は好きだった。本当の意味を感じる前から、その視線を向けられると言い様のない感覚に襲われていたんだ。



 僕は君が好きだったんだ。



 気付いたのはその時。
 綺麗だと思っていた。壊れやすい繊細なガラス細工のような存在だと。その事すら僕は考えないようにもしていた。考えたらはまりこんでしまいそうだったから。それが許されていないことくらい僕達は知っていたよ。もし僕が受け入れても、受け入れることをドラコはマルフォイとして拒絶しなきゃいけなかったんだろうね、あの頃だったら。

 彼はマルフォイだったから、英雄としての僕を排除したくて憎み、そして取り込みたいとも思っていた。
 もしかしたら、ただ君の父親のように、君も強い力に惹かれていただけなんだろうけど。

 何もなくなった僕になんか本当は何の用もないはずなんだ。君は英雄という単語に惹かれていただけだ。だから魔力すら持たない僕は、取るに足らない矮小なモノだ。


 だけど君の視線が相変わらずの比重を持っていたことが、僕をどんなに喜ばせたのか君には教えない。

 伝えない。
 君をなくすことなんかできないから。君だけが、ドラコだけが僕に価値を負荷してくれていた。ずっと、重かった……そんな価値は要らなかった。
 それでも今は……僕には何もないから……君からの視線の重さが昔と変わらなかった事に、僕はどれだけ歓喜したか、君は知らない。教えない。


 始めから受け入れることはしなかった。自分の価値を高めるために、自分の欲求には応じなかった。

 君がもっと僕になればいいんだと思った。苦しそうなドラコの表情を見て、僕はとても嬉しかった。


 だから始めはドラコを受け入れてあげなかった。
 だって僕に価値なんかないんだ。それに気付かれたら離れていってしまうでしょう?


「ポッター……君が好きなんだ」

 気が付いた僕にドラコはそう言って困ったような顔をした。苦しそうに心臓を押さえていたことを知っている。
 苦しいの? 嬉しいよ。

 閉じ込められて、僕に選択肢なんかなかったけどさ。

 また君に会えて嬉しいよ……だなんて、まだ言ってあげる気にはなれなかったから、僕が声を出したのはしばらくしてからだった。君の目を見たのも何日後か。

 僕は、何も言わなかった。彼の胸元に一瞥を投げることだけ。
 ただ恨みをこめた視線を送るふりをしていた。


 ――僕に騙されてくれない?
 もし僕の真意に気付いても、君は騙されていてくれない?

 一世一代の名演技だったよ。

 ドラコは僕を好きだと言いながら、涙を見せた。

「許されることだなんて思っていない。だけど、ポッター、僕はどうしてもお前の側にいたいんだ」

 一筋の涙が宝石から熔け出した水銀のように、その顔はうっとりとするほど綺麗だったんだ。何度も、僕も君が欲しいと言いたかった。

 もっと、もっと僕を欲しがって切羽詰まってからじゃないとね。こんなことをした時点でドラコがもう限界なんだってことはわかっていたけど、僕はもっとドラコに好きになってほしかった。僕しか見えなくなればいい。君の世界が僕だけになればいい。僕と同じように。


 僕をここに閉じ込めてから数日後、ドラコは自分から服を脱いだ。僕だってそれなりに経験はあったけど、ドラコとするのは目眩がするほどの快感だった。

 真っ白な皮膚は透明度が高く透けるようで、しっとりとして暖かかった。
 僕のを口に含んだり、身体で受け入れて僕の上で乱れる様は言いようもなかった。

 ドラコは受け入れるのは僕が初めてのようだったけれど、とても苦しそうだったけれど、それでも僕の質量を感じて、僕の上で達した。

 いとおしい、と。僕もドラコを抱き締めないように、握り締める手が限界だったし。



 その時、始めて僕は彼を抱き締めてあげた。
 僕も、僕だって限界だった。
 君が愛しくて限界だった。



 僕の身体にしがみついて声を上げてドラコは泣いたんだ。



 その後、彼は僕の言うことを全部聞き入れてくれるようになった。僕のしたいことは全部、彼の望みになった。


  抱き締めてあげようか?
  キスをしてあげようか?
  服を脱がせてあげようか?
  身体に触ってあげようか?
  ここ、舐めてあげようか?
  ここに入れて欲しい?
  動いて欲しいの?
  イきたい?

 全部ドラコは嬉しそうに目を細めて頷いた。

 ほら、君は僕がいないと駄目なんだよ。
 君の願いを叶えてあげる。


  好きだって、言って欲しい?
  好きになってあげようか?
  君のこと愛してあげるよ。





 だから、僕を好きでいて。
 僕を愛していて。

 ずっと僕だけでいいよね?




 本当は僕が君を必要としているんだよ。



















080626