部屋入って鍵を締める。普段何気ない音なのに、何故かひどく艶かしく響いた。 音を聞きながら、僕達は抱き合った。 僕達は抱き締め合って、身体中を隙間が無いくらいぴったりと密着させて、舌を絡め合いながら、長いキスをした。 互いのシャツのボタンを外しながら、服を脱がせて、脱いで、服なんかで僕達の間に隔たりができるのが嫌だった。 お互いに触り合って、触る前からキスで僕達はお互いに、ほとんど限界まで硬く立ち上がっていて、それを確認して、重ねた唇が笑みを作るのが、解った。 目眩がする。 本当は、喧嘩がしたかったんじゃなくて、僕はずっと君とこうしたかったんだ。喧嘩でも君との接触を持っていたかったんだ……今更、そんなこと……お互い様なんだよね。 荒い、息遣いが、互いの口の間を交互する。 互いの性器を手の平で包んで、上り詰める。 触れ合う素肌が、汗で湿って熱かった。 荒い呼吸は僕の吐息なのかマルフォイのものなのか、それも解らなくて。 二人で昇る。 「はっ、あ……」 達したのは、マルフォイの方が先だった。 マルフォイの吐き出した白い飛沫が、僕の腹にかかった。 それはとても熱くて……僕で感じてくれたことが、僕には嬉しかった。もっと、もっと僕を感じて気持ち良くなって欲しくて……だからもっと僕は君を気持ちよくしてあげたいんだ。 くたりと、マルフォイが、僕の身体に倒れ込んできた。 服を脱がせて解ったけど、白い肌は、顔だけじゃなかった。胸も腹も足も、どこも真っ白い。陶器のような肌理の細かい白い肌は、それでもやっぱり暖かくて不思議な気がした。 足の付け根にある性器だけが赤く色づいていて、やけに艶かしい。 こんな綺麗な君が僕を好きだったんだ……。 君が誰のものにもならなくて良かった。 僕を君が選んでくれた。 絶頂を迎え、肩で息をしながら、余韻で身体を震わせる身体を僕は抱き上げて、ベッドにそっと降ろした。 その華奢な身体に、僕はのし掛かる。体重をかけて、押さえつけるようにして、僕は身体中にキスを落とす……薄く汗をかいた肌は、しっとりとしていて、吸い付くような気がした。 一つ一つ、大切に、痕を残したくて、それも勿体無くて、キス一つにでも僕のありったけの気持ちを込めて、そうやってマルフォイの胸にキスを落とす。胸だけじゃなくて、喉にも、肩にも、腕にも、身体中触れるところ、全部……その度に、マルフォイはか細い声の混じる吐息を漏らした。 僕はその度に煽られた。 うっとりとした、甘い、とても甘くてとろけそうな………… 「ちょ、待て、ポッター!」 「あ、ごめん」 夢中になりすぎていて、マルフォイの事を考えて居なかった。 僕ばかりが先走りすぎてしまったかもしれない。もっと大事にしなきゃ。本当に僕は君の事が好きだったんだって、それをこのセックスで解ってもらえるように、マルフォイに優しくしようって思ってたのに…… 「苦しかった?」 「そうじゃない」 「じゃあ気持ち良かった?」 「……いや、気持ち良いけど、そうじゃなくて……まさかとは思うが、僕が下か?」 長い金色の睫毛で縁取られた大きな、熱で少し潤んだ瞳が、上目遣いに僕を見る、その仕草はとても可愛かった……けど。 「は?」 下、かって………。 「え……と、上に乗ってしてみたい?」 「そうじゃなくて!」 「びっくりした。初めての相手で、いきなり騎乗位が良いとか言われるのかと思った」 別に嫌いじゃないけど、やっぱり初めての相手には、僕がじっくりと優しい愛撫をして、溶けきった身体に入って行く方が好きだから。 上に乗られると、主導権を握られてしまうみたいで、あまり好きではないんだ。慣れてきたらやってみたい体位ではあるけど。 でも、やっぱりせっかくだったら……、初めての時は…… 「いや、解ってると思うが……僕は男だぞ?」 「え?」 いや、解ってるよ。 僕達今、何も着ていない状態で、さすがにこの年だし女の子の身体を見たことだってあるし、身体の違いぐらい、見れば解るよ。 それに学生の頃から、確かにすごく綺麗だったけど、だからと言って別に女の子みたいとかそう言うわけじゃないし……強いて言うと、中性的な感じだったけど、でも僕は昔からマルフォイの性別を疑ったことはない……から… 「えっと……男同士でも、セックス、できるよ?」 ただ、本来の目的じゃない場所を使うから、じっくり解さないと大変な事になるけどさ。 ここに来てこういう行為をその場の気分で始めてしまったけど、やり方が解らないとかそう言うことだろうか。 いや、僕は男同士のセックスは初体験だけど、チームの先輩に両刀使いがいるから、飲み会になると下ネタの話で、聞きたくもなかったそんな知識が使える日が来るだなんて思わなかったけどさ。 「それは………知ってる」 赤くなるマルフォイも可愛いだなんて、僕はそんな事を思っていたんだけど……。 「だから、僕が女役かと訊いているんだ」 「は?」 「ポッターが下でも良いんじゃないのか?」 「へ?」 え? ナニソレ? 僕が? 僕が、マルフォイに入れられて? 「いや、ちょっと待ってよ。それはおかしいよ」 想像して、急激に力を無くして行く僕の息子。 「何故だ?」 「いや、だってマルフォイの方が可愛いし」 「僕だってお前を可愛いとか思ったらマズイか?」 「………いや、あの……」 勘弁してください。 美人のマルフォイが、快感に悶えて喘いでいる姿は想像するだけで生唾物だけど……。 僕が? 「いや、無理だよ」 「僕が下だって、僕は想像できない」 「じゃあさ、マルフォイは、僕に入れたい? 入れられたい?」 あまりに直接的な言い方をしたからだろうか、マルフォイは顔を赤くして、俯いた。 こんな恥じらいの姿すら可愛いよ。 「……僕だって、男だし……やっぱり」 ……………。 「………」 ………………………ごめん。 大好きな君の為には、お願いされたら何だってしてあげたいとか思うけど…… それは、ちょっとご期待に添えない相談だ。 「僕も、マルフォイに入れたいけど」 「………それは………どうなんだろう」 だって無理じゃない? 僕の方がスポーツやっている分、体格だっていいし、体力だってあるし………身長だって、僕の方が少し高いくらいだと思うし。 「……………」 「……………」 気まずい、空気が流れる。 でもだからと言って、僕は君に入れる気満々なのだけれど……そのつもりだったし。 今夜、君を手に入れたくて、身体も僕のモノにしてしまう決意を固めているのだけれど……。 「じゃあさ、マルフォイ、こうしよう」 「何だ?」 「君もそれでいいよ。そのつもりでいていいよ。でも、僕だってそのつもりだから」 「……解った」 どこか、腑に落ちないようなマルフォイには、悪いと思うけどさ。 悪いけど、譲る気無いから。 だから、悪いとは思ったんだけど。 マルフォイが、僕にのし掛かって来た。 → 091009 |