29(H )
















 彼の身体は本当に冷えていたので、僕は彼をバスルームに押し込んだ。
 その間、僕は何も出来なかったから、ただ、ソファに座って彼が出てくるのを待っていた。



 泣かせて、しまった………。

 泣かせてしまった君を、悲しませてしまった。僕が。
 僕が、誰よりも、何よりも君を大切にしたいって、優しくしたいって、そう思っているんだ。それは嘘じゃない。それに僕が誰よりも君を幸せにしてあげられる、そう思っているし、きっとそれは本当だよ。
 誰よりも僕が君を一番最高の笑顔でいさせてあげるから!



 彼が、帰ってきてくれた。僕は、本当はそれだけで十分だったんじゃないのか?
 本当に、嬉しかったんだ。帰ってきてくれて。

 本当は、抱きしめたかったんだ。抱きしめて、もうどこにも行かないでと、泣いてしまいたかったんだ。





 ねえ、そうしたら、もし、僕が君に縋りついて泣いたら、君は僕を受け入れてくれる?
 それとも、無理矢理にでも僕のものにしてしまったら……閉じ込めてどこにも行かせないで、ずっとここにだけいてくれるように閉じ込めて、そんな魔法をかけて……一生僕のものだけにして、誰の目にも触れさせないで……そんなことをしたら、君はまた僕に笑ってくれる? 無理矢理でも、僕のものになってくれる?


 僕は、君の笑顔が見たいんだ。

 君の涙は……見たくない。僕が君を幸せにしてあげたいんだ。




 シャワーの音が切れた。
 ニコラスが、出てくる。


 僕は、ココアを用意して彼が出てくるのを待った。寒かっただろうから、甘いものは身体を温めてくれる。



 洗いあがった髪からはシャンプーの香料の匂いが漂う。僕もいつも同じものを使っているはずなのに、彼からの香りと違う気がするのが不思議だ。



 ニコラスが、椅子に座って僕の入れたココアを、一言ありがとうと言って受け取った。マグカップを両手で抱えるようにして、飲んでいるその姿が僕の近くにいるだけで、嬉しいんだよ。

 僕は、どうすればいいのかわからない。
 どうやって、彼の心を手にすればいいのかわからない。


 きっと、僕がまた君を無理矢理抱いてしまったら……君は笑って許すのだろう。今と同じように、何もなかったことにするのだろう。


 僕の気持ちを知っているくせに。



「ニコラス……」
「……何だ?」

 好きだよ、好きなんだ! 誰にも渡したくないよ!

「美味しい?」


 ああ、僕が訊きたいのはそんなことじゃないんだ。

 僕は、君に好きになってもらいたいんだよ。少しは僕のことを、好き? そう訊きたかったんだ。
 僕が君の隣にいても良い?
 君は僕が君のことを好きでいても構わない? いつか僕のことを好きになってくれる? そう、訊きたかったのに……。

「ああ……ハリー、ありがとう。美味しいよ」

「なら、良かった」



 少しだけ、ニコラスは僕に笑顔を見せてくれた。



 好きだといったら、またその笑顔を曇らせてしまいそうで……



「僕はもう寝るけど、ニコラスも早く寝た方が良い」




 本当は、君がどこかに言ってしまわないか不安だったから……僕は彼が眠るのを見届けてから眠りたかったんだ。そんなことをしても君は嫌がらない?

 自信がないんだ、僕は。君は本当に綺麗だから。宝石のようにきらきらと……僕なんかが手に入れていいものかと……



 でも、僕が一番君を幸せにしてあげるよ。






「ねえ、ニコラス?」



「何だ、ハリー」




「………………」



 好きだよ。
 大好きだよ。




「お休み」





















070720
すんません、実はこの29話めなくして書き直しました。何を書いたのかさっぱり思いだせない。前後と、ドラコの書いた部分から判断するとこんな感じか? と書いてみましたが……よくわかんねー。ので、短くて申し訳ございません。
それにしても、なんだこのヘタレ男は!
今日(まだお返事しておりませんが、後日気合を入れてお返事を書くつもりですが)サブレ様から頂いたメール(vvv)に「ハリーは一回やっちゃったし、グダグダ言わないで抱けばいい 」とのコメントが……
はい、もう、まったく持ってその通りでございます!!! 私も本気でそう思っております! イライラするなあ、もう、読み返して本気でそう思います。I'sとか読んでて、何だこのイ●ポ男は!! とか思っていたけれど、人の事言えませんね。あああ、読んでくださる方、イライラさせて本当に申し訳ございません。
あー、もうこの話のハリーはヘタレ全開で! 

ってゆうか、失くすなよ、バカ!