17 これ以後は性的な描写が含まれます。 苦手な方、16歳未満の方は御遠慮ください。 「ハリー……ハリー」 彼の腕が僕を抱きしめる。 しなやかな白い腕が僕の背に撒きついた。彼の肌はいつもひんやりと、心地がいい。僕よりも少し体温が低いせいだろうか。 僕は彼とキスを繰り返しながら彼のシャツのボタンに手を掛ける。手は忘れていなかった、僕がどうやって彼を愛していたのかを。 はだけた胸元から手を滑り込ませて、彼の肌の感触を確かめた。しっとりとしていて滑らかな肌理の細かい肌。 本当に綺麗。ああ、本当に君は完璧なんだよ。 触れればキスの間に彼は淡い吐息を漏らした。 僕が膨らんだ股間を押しつけるように彼を強く抱き締めると、彼も自分の高ぶりを僕に伝えて来た。 うれしい。 君が僕によって感じてくれているのが嬉しい。 そのことで僕はより興奮する。 彼の服を脱がし終えると、僕はその身体をソファに横たえた。 いつもきちんとした服を纏っている姿も綺麗だけど、何も身に着けずに無防備に僕の前にいてくれている姿が僕は一番好きだ。 僕が……僕だけが好きにして良い身体。他の誰にも触れさせてはいけないよ。 僕はその身体に口付けた。余す所なく全身に僕は彼の身体にキスをする。その度に彼の唇から甘い吐息と一緒に僕の名前が出てくる。 もっと。 もっと僕を呼んで。 君が僕を必要としてくれる。だから僕は生きている。 彼の内股に唇で触れて、足の付け根に登るころには、彼は勃起した先から透明な液を漏らし始めていた。僕はこぼれてしまうのが勿体なくて、そこにも口付ける。 あふれて来た体液を舌を使って拭うと、切ない声があがった。 もともと高めの彼の声はこの時ばかりはソプラノになる。綺麗な声。 口に含んで、手で上下に数回扱いただけで、彼は僕の口の中に吐精した。 彼は焦らされるのが好きだ。そのもどかしさが好きだ。 常に主体は彼なのに、この時ばかりは僕にいじめられることを悦ぶ。僕が望むまま身体を開いてくれる。 どうにもなれない僕達は、笑いながら、時には泣きながら抱き合う。何度繰り返しても僕達に結論は出ない。何度身体を繋げても僕達は一つになれない。初めから僕達は弁証法など求めていなかった。何をしても結論などで無い事はわかっている。求めていない。 ただ、僕達がこうして触れ合っていればいい……欲しいのはそれだけ。 僕は彼の吐き出したものを飲み込んだ。彼を味わうのは久しぶりだった。どろりとしていて飲み込みにくい。 「……」 荒い呼吸を繰り返しているドラコの薄い胸が上下に動いていた。 「ハリー……」 名前を、呼ばれた。。 この行為の間、僕達はあまり会話をしない。口数が少ないけれど、彼が何を望んでいるのか、どうして欲しいのかよくわかっている。 僕はシャツを破いてしまいそうな勢いで服を脱ぐと彼の身体の上に自分を乗せる。 重たくないように腕に力を入れるのに、ドラコが僕をだきしめるから。 「重たいよ」 「平気だ。もっと触れたい」 僕はドラコが愛しくて。 頬をくっつける。 ただ抱き合っているだけでこんなにも気持ちが良かった。指先だけでも触れていたい。少しでもいい、近くにいたい。それだけで僕は幸福と興奮を得る事ができる。本当はそれだけで十分なんだ。それだけで僕は幸せなんだよ。側にいればいいんだ。僕達はお互いに補完しあって、ようやく歩ける。 「いいよ、きて」 無理をさせたくないのに。 君が気持ちが良くなればそれで充分なのに。 彼が苦笑混じりにそう言うから。 僕は自分を自覚する。 僕は痛いくらい勃起していて、それをドラコに押しつけてしまっていた。 僕は彼に触れると情けないくらいすぐにこうなってしまうんだ。久し振りなのもあるけど。 だから。 僕はドラコの唇に指で触れる。柔らかい。 僕が彼の唇に触れると彼は僕の指先を舐める。舐めて、僕の指先を口に含む。生暖かな舌が僕の指先を包む。今までと同じ。 僕の指先も彼の温度を覚えている。僕は……僕の体中は何も忘れてなんかいなかった、ドラコの事を。 充分にドラコの唾液が絡むと僕は指をドラコの入口に当てる。 期待を込めた声が上がった。僕が彼の中に入りたいように彼もそう思ってくれているのだろうか。 指に少し力を入れるだけで簡単に中に沈んだ。 彼の中のどこが気持ち良いのか、僕にはわかっている。 僕が誰よりも君の事をわかっている……君よりも僕は君の事を理解している。 僕は君の中の気持ちが良い場所を指で探った。中で少しでも指を動かすと彼は高い声を上げ腰を捩らせるから、僕は彼を逃げないように押さえつけ、もっとその声が聞こえるように中をかき混ぜた。 さっき達したばかりだというのに、君はまた立ち上がって来ている。 「あ……っん」 優しくしたいんだ。 君を気持ち良くしてあげたいんだ。 僕は彼の入口に押し当て、そのまま突き入れた。 「ああっ!」 悲鳴。それに近い。 喉の奥から。 奥まで挿れた瞬間に、彼はまた達した。 白い液体が飛び散って、僕と彼の肌を濡らした。 入れただけなのに。 僕だってずっと我慢していたんだ。ずっと君とこうして繋がって気持ち良くなりたかったんだ。君じゃなければ気持ち良くないんだ。 君も僕で気持ち良くなってくれているのが僕を余計に気持ちよくさせる。僕を求めてくれている事実が僕をより興奮させる。 君も僕が一番好きだって言って。他の誰にも触らせないって約束して。君が他の誰かに気持ち良くしてもらっていたら僕は嫉妬で壊れてしまう気がした。僕だけのものなんだ。他の奴が壊れたって知らない。僕はだってドラコに愛されているんだ。だから彼の身体に触れられるのは僕だけの特権なんだよ。 あの時は……まだ薬が効いていたんだ。 薬が効いて……だから僕は殺さないで済んだ。 ドラコの涙を見てしまったから……だから、僕は思い出す事が出来た。 僕が腰を動かし始めるとそれに合わせて彼が短い喘ぎ声を発した。 ああ………。 なんて気持ちが良いんだ。 目眩がする。 ここにいなくなる感覚。 体中の神経は鋭敏になり、ドラコの素肌に触れているところが、溶けるように熱くなっているのに、それでも意識が浮上していくよう。 気持ちが良いんだ。繋がっているのは一部なのに、全部が君と繋がっている気がする。僕がドラコの中にいる。 君も、そう感じていてくれているのだろうか。 僕と同じ気持を今、君が感じていてくれていれば言いと思。 だって、こんなに気持いいんだよ。これ以上のものなんてこの世の中にきっと存在しない。 同じ気持でいてくれていればいいと思う。 この時だけは僕は本当に幸せなんだよ。 無くせないんだ。 僕が、本当に壊れてしまう。 強引に腰を動かして彼を奥まで味わう。 何もいらない。 ずっとこれだけでいい。 そんなこと無理なのに。僕達は誰よりもわかっている。 ずっと君への気持ちが落ち着いたままなら良かったのに。君の記憶が全部消えてしまう薬とかの方が良かったのだろうか。それでも結果は同じだろう。僕達はこうやって求め合っている。 君の中は気持ちが良いんだ。 まだ彼の中に入って間もないけど。 久し振りだったし。 君も気持ちがいいと感じてくれている。 「んっ……あ、ぁ」 君が良い声で啼くから。 「ハ、リー……!」 僕は彼の中に達した。 070505 → |