【Full Moon 2】 21
石田の横顔を穴を開ける勢いで見つめる。整った顔で、いつも人形みたいに涼しげな表情浮かべてる顔が、頬を赤く染めてるから、俺はもう目が離せない。 そんな赤くした頬で怖い顔したって怖くねえよ。 横向いてるから、その頬にキスする。 本当は、口に、キスしたいんだけどな。 「こっち向けって」 「………」 恐る恐るって感じで、ようやく石田が俺の事見た。 真っ黒な目が潤んで、少し赤くなってる。こんな至近距離で、普段の石田の黒い目を見たの、初めてかもしんない。 この距離で見た事がないわけじゃないけど、血の色を映したみたいな赤い色をした目しか見たことなかった。あの意識が持ってかれそうな赤い目に見られるのは悪い気がしないけど、石田の黒い目は俺が見ていたいって思った。 綺麗な色。綺麗な黒。石田は肌が白いから、目や髪の黒が良く似合う。 もっと見たくなって眼鏡外した。ベッドサイドに棚があったから、その上に置いた。 勿体無いからそらすんじゃねえって。 俺に全部見せろ。お前なら、どんなお前だって全部好きになる自信あるから。吸血鬼だろうと狼男だろうと、だってその前にお前だろ? 神経質な部分とか嫌味な発言とかに苛つく事あるけど、それひっくるめて全部の石田が好きだ。 いや、人を馬鹿にしたような態度されたりするとムカつくけど。性格が好きなんじゃなくて、石田が好きだから、そんな部分とか丸ごとお前がいいんだって。 そんな気持ちが俺の中でいっぱいになって、腹の中がくすぐったくなるような感じがして、 気が付いたらキスしてた。 石田の目は赤くなくても何かの引力が発生してんじゃないか? 最初は、触れるだけ。 なんか、ふんわり柔らかい……って感動した。 キスなんかもう何回もしたんだけど、その前に欲求が先に立っててそれどころじゃなかった。 舌絡めあってディープなやつ何回もしたけど、夢中になってたから、あんまり覚えてない。 でも、なんか初めてキスしたような、そんな気がする。 「石田……抱いていい?」 交換条件じゃなくてさ。 メリットとかデメリットも無くて、ただ純粋に、俺がお前の事好きだから、抱きたい。 だからさ、お前が俺の事好きなら、いいって言って? 「……うん」 俺達の間の邪魔な布団をどけて、石田にキスしながら、石田のシャツのボタン外していく。 白い肌に手を這わせて、さらさらした手触りを楽しむ。細い身体。こんなんで、生身で虚と戦えるんだから、不思議だ。ちゃんと綺麗に筋肉ついてるけど、白い肌で、病弱だって言われたって納得できるくらいなのに。 俺も自分で服脱いで、素肌を合わせた。白い肌に俺の身体で蓋するような体勢で、触る。 「……っ……」 石田は声を飲み込むように手で口元を覆ったけど。 なんかいつもよか感じて無い気がする。気のせいか? なんかいつももっと……。 「ふぁっ……っ」 ズボンの上から触ると、確かに手応えある膨らみ。感じてないわけじゃなさそうなんだけど……。 ボタン外しただけで中に手を滑り込ませて、直に触った。 「っ……あっ……」 「声、我慢すんなよ」 「だって……」 「石田の感じてる声、聞きたい」 聞きたいから、固くなった石田のに指を絡める。 石田が気持ちいい触り方、覚えた。どうやったら石田が反応するかちゃんと見てたから、覚えてる。裏筋指の腹で撫で上げるようにすんのが好きなんだって知ってる。 そうやって触りながら石田の反応見る。 「っ……やっ…」 握って、動かす。 「黒崎っ……っ…、ん」 親指の先で、先っぽの割れ目広げるように撫でる。ぬるついた液体を広げるようにして触る。 感じてないわけじゃ無いみたいだけど……いつも自分から腰を動かしてくるくらいだから……。 声我慢しやがって。 いつもと、違いすぎるって。 面倒くせえ奴。 「黒崎、駄目……も」 「イっていいぜ」 「……っん」 石田の体が跳ねた。 腹の上に、白い体液が飛び散る。石田が腹に自分で出した精液を撒き散らして、布団に沈んで、浅い呼吸を繰り返してる。 やっぱりちゃんと感じてるよな? いつもよか早かったし……くたりと力抜けて、今ならどっからでも美味しく頂けるはずの状態だけど。 なんか、手……出しにくい。 いつもなら、キス求めて来たりするし……そっちから俺に抱きついて来たりとか……。 「石田……気持ち良かった?」 「………聞くなよ!」 「だってわかんねえし」 「……だから! 気持ち良いからイったんだって!」 しかも、喧嘩腰だし。 難しい奴。一応、気持ち良かったならいいんだけど……吸血鬼の時と反応が違いすぎる。 石田らしいっちゃ、確かに石田らしいけど。 いつもみたいに、血を飲んだ後の石田は積極的で究極にエロいけど、エロいから石田が好きなんじゃなくて、エロい石田も好きなんであって。 だから、石田らしい石田が嫌いなはずなんかない。 なんか、やっぱ初めてみたいな感じだ。 石田と何度もセックスしたのに、同じ相手なのに、初めてするわけじゃねえのに、石田の反応がすごく新鮮だったんだ。 → 20120106 |