初めて会った時に、女神様かと思った  20 




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 勢い良く白濁した体液を俺は吐き出した。
 身体が痙攣するように震える。

「すげえ、中もひくついてるぜ」
「……っぁあ……あ」

 身体が痙攣するたびに、中に入っていた土方の指を締め付けていた……拐われてしまうような渦に飲み込まれているようなのに、それでも、その場所の感覚だけはやけに鮮明だった。


「悪い、も、我慢できねえ」

 何が? と、そう聞こうとした。が……。
 指が抜かれ、すぐにその場所に押し当てられた硬度と温度に……これから何が行われるのか、理解した。


「……や」
 何をされるのかは、初めから多少なりとも理解していたが……今、ようやく、初めて、その恐怖を実感した。これから、その目的でない器官で俺はこの男を受け入れるのかと、そう思ったら、初めて行為自体の恐怖を感じた。


 だってそれはさすがに……無理。なんじゃ、ないかと思います。

 散々土方の指で弄られて、入口を広げられて、中を解されたけれど……俺は具体的な現物を見てしまって……それは無理なんじゃないかと、思わざるを得ない。だって……いや自分が小さいとは思っているわけではないが、男のアイデンティティーとしては、負けたと思わざるを得ないものを俺の中に突っ込もうとしているのは、ちょっと無理があるような気がする。


「まだ……俺が、怖いか?」
 お前を俺が怖がるわけがないだろう? 俺を誰だと思っているんだ。
 怖いなんて、俺が、怖がることがあるはずはない。

 が、ちょっと、その膨張率は頂けない……気が。
 いや、怖いはずがない。土方は、怖くない。俺が怖いなんて、そう思うはずがない。


 それに、この男なら、大丈夫だ。
 なんの根拠もない確信はきっと真実だろうと思っている。土方ならば、大丈夫だ。

 怖いなどと、思っているわけではない。思うはずがない。


 俺を誰だと思っている。多少の傷みくらいなら、堪えてやる。


 だとすれば、俺は何が怖いのだろう?





「大丈夫、だから。桂。俺を見て」

 そう、耳に優しい囁きを吹き込まれた。

 頭を撫でられて、肩口にそっと唇を押し当てられた。

 優しい、仕草と温度に、俺はほだされてしまったのだろうか……。
 後ろから抱き込まれて、肩に、背に、首筋に何度も口づけをされる度に、徐々に自分の緊張が弛緩していくのがわかる。

「……ふ……ぁ」

 温い心地に頭の芯までもが緩んでくる。

 ゆっくりと、俺は、土方に溶かされて、緩んだ場所に、熱い、土方が、少しずつ……埋まって……。

 土方を受け入れているその場所が、避けてしまいそうな痛みと


「あ……あぁ、あ」
「ゆっくり息、吐けよ」

「……あ……ぁ」

 やっぱり、無理だ……っ、と、そう言おうとしたのに……声にならない。

「痛いか?」

 身体の中に、とんでもない質量が入ってきて、内蔵を圧迫される。
 痛い、を、通り越していた。
 入り口はびりびりとするし、身体の中は圧迫されていて、苦しいし……痛みなんて通り過ぎていた………。

 苦しくて、辛くて涙が滲んだ。言われた通りに、ゆっくりと息を吐き出す。



 中に……俺の中に、土方が、在る。その存在を無自覚のうちに締め付けてしまっていた。

「ちょ、おい。力抜けよ」
「ぁ、ぁ、あ…あぁ」

 無茶、言うなっ! この状態で俺に何かを求めるんじゃない! 呼吸すらままならない状態で……。


「悪い、も、動く」
「っあ! ひっ……ぅ、あああ」

 少しずつ、土方が俺の中に埋めた軛を抜き差しする。中で、さっきの場所が刺激されている。擦れて……。
 土方が動くことによって内側に強い熱が生まれる、より中にある存在を意識してしまう。痛いのか、熱いのか、苦しいのか、良くわからない。


「あ、ぁあ…あー、あ……」
 今、俺は土方と、繋がっている……。




 俺達は、敵なのに……。

「あっ……ふぁっ……や、ぁん」

 カリ首がその場所を擦る度に、身体中に快感が走った。熱が全身に波紋のように広がる。
 俺は……どうなってしまったんだ?
 夢中になって、快感から逃れるために敷布を握りしめ、額を布団に押し付けた。このまま、この渦に飲み込まれどこかにいってしまいそうだ。







「赦さねえ。あんたに俺以外の奴が触れるなんて、絶対嫌だ」

「あっ…あっ」


「俺は、お前のこと怖がらせないから」


 腰を掴まれて、乱暴に叩きつけるようにして土方が俺の中を抉る。

 苦しいと、そう主張したくても、声にならない。辛くて、痛みもあるのに……。
 口から漏れ出すのは身体中に溢れた熱が口から嬌声となって吐き出している、俺は……。


「あんたは俺のもんだ。俺以外の奴なんかに、絶対に、触らせんな」

「ひっ……あ、あぁっ……あ!」


 何か、言いたかったが、腰を打ち付けられる度に、ひきつった声が上がる。


「なあ、桂……桂。好きだ。すげえ好き」




 返事を……しないと……そう……俺達はそんな関係ではないだろ?

 ちゃんと考えろ。俺もだ。

 ちゃんと考える必要もないくらいに、俺達は俺達なんだ。そんなこと、俺たちが誰よりも知っているんだ。
 間違っても俺達は、そんな関係じゃない。こんなことをする関係じゃない。
 俺は、俺が誰だか誰よりも知っている。自分が何をしたいのか、解っている。そしてこの男が俺の敵であることも理解している。

 だから……お前だって、そうだろう?


 お前は愛しい相手では……ないと……言いたくて、言えなくて、でも言わなくてはならなくて、そんなこと言う必要もないくらいに俺達はそれを自覚していて、でも、こんな事をしていて、これは間違いなんだ、間違っているんだ、俺達は……それを伝えなくてはならないと思ったら、息がつまるように胸に痛みが走り、目頭が何故か熱くなった。

 胸が、痛くて……目から、溢れたのは生理的な痛み以上の……


「あ、……あ、ぁ」


「桂……桂っ!」


 ひときわ、強く腰を突かれ………中で、弾けるように……熱い……。


 その衝撃に、俺も…………。



 再び、達した後、意識を手放したらしい。











20121217