どくどくと、俺の精液は桂の中に流れ込んで行っている。
吐き出し、俺のが震える度に、桂は小さく声を上げて、身体を振るわせた。
「………………」
「……早いな」
「…………っせえ」
うるさい。本当に、もう頼むから何も訊かないでくれ。何も言わないでくれ! てめえん中が気持ち良すぎんのがいけないんだろうが! 仕方ねえだろ、入れる前から爆発寸前だったんだし、どんな責任転嫁だって言われたって、腕も縛られててこの状態で俺に拒否権なんてねえよな? 俺何も悪くないよな?
恥ずかしくて、顔から火を噴きそうだ。
「ぁ……まだ、中で、どくどく、してる」
絶頂直後の整わない呼吸で、俺はせめてもの報復として桂を睨みつけたかったが、情けなくて顔も見れねえとか……いや、違う、俺の顔隠したい。穴があったら入りたい。
男の桂の中に入った瞬間に、イくだなんて……いや、でもその前にもだいぶいじられてて、だから、俺の意志じゃねえ。
俺が悪いんじゃねえ。
「………」
頼むからもう早くどいて下さい。
こんなこと……どうせ外に居る奴らに監視されてんだろ? 桂の中に入って、イっちまうなんて、そんな事誰にも知られたくねえってのに……俺も知りたくなかった。桂の中が気持ちいいなんて事実は、知らなくて良かった。
「ひじ、かた……」
桂の身体が、俺に覆い被さってくる。
それでも俺は横を向いたまま、桂の顔が見れない。勝ち誇ったような顔をしてんだろうか。情けねえ。
手を動かせたんだったら、やっぱ俺は桂を退かす前に、自分の顔を隠したかった。
「土方」
ふんわりとした感触が唇に乗った。その感触が桂の唇だなんてのは、すぐにわかったが……性欲処理のためだけに俺のを使うんだったら、それだけで良いはずだ。桂が俺にキスする必要なんてねえ。それは愛情を示すもんだろ?
桂が何をしたいのか、俺には理解できなかった。
本当に、薬にやられて頭までおかしくなっちまったのか?
もう一度。
桂は俺の唇に重ねた。
「桂?」
「ようやく、こっち見てくれた」
俺をのぞき込むようにして、桂は微笑んだ……綺麗な、笑顔だった。
うっかり、俺はその微笑みに、魅入られた。
「ひじかた……」
「かつっ……んっ」
呼ばれたから、何かを問おうとすると、再び唇を重ねられて、俺の言葉は封じられた。
深く、口付けられる。
桂の舌が、俺の中に侵入してくる。ねっとりした動きで、唇をなぞられて、前歯を舐められて、舌を絡められる。俺達の口から、唾液の絡む濡れた音が響いた。
「んっ……ん、ンッ……ん」
やべ……こいつ、キス巧すぎねえか?
桂の手は俺の胸の上で動き、服のボタンを外している。ジャケット、ベスト、シャツ……。全部外し終わると、桂の服がいつの間に袖を通して肩に掛かるだけになってたのか、胸から腹、その下まで、全部で俺の肌に肌を直に重ねる。
桂の肌と俺の肌が、密着する。
まだ桂の中に入ったままの俺は、すぐに熱を持って来た。
互いの熱で汗を帯びて湿った肌は、熱いのに、やけに心地よかった。
「ん……」
口付けだけで意識が、持ってかれそうになる。俺も、桂の舌の動きに夢中になって、俺の口の中で暴れる桂の舌を甘く噛む。
「っ、ンン……っん…、ん」
きゅっと、桂の中が閉まった。
その締め付けに、俺の体温も上がる。やべ、気持ちいい……。
何やってんだとか、色々思うところしかねえが、今はそれどころじゃなくて……ただ桂の中が熱くてそれだけで俺ん中が満タンになる。他にはどうでも良くなる。こんなことしてて、外に居る奴らが見てんじゃねえのかってのも気にならなくなってきた。
もっと、感じたくなって、下から突き上げるようにして、桂の中を抉った。
「はあっ…あぁ、ン」
唇が離れて、桂は身体をのけ反らせて喘いだ。
これ、気持ちいいのか?
もう一度、同じようにして腰を動かす。
「あっ、あああ…っ! やっ、深いっ」
くたりと、桂の体重が俺に乗る。
「へえ……奥が気持ちいいの?」
続けざまに、腰を動かす。桂ん中に俺をこすりつけるようにして、動かす。
摩擦で、熱が生まれる。このまま火でも出るんじゃないだろうかってくらい、桂の中は熱くて、柔らかく俺を締め付けてきた。
「あ……っあ、あ、あぁ」
小刻みに動かすと、桂は動く度に喉を振るわせて、俺の胸に顔を擦りつけるようにして、俺の服を握った。桂が俺の腰の動き一つでこんな風に乱れてる事実は何よりも俺を興奮させた。
「なあ、桂。気持ちいい?」
「あ、土方の……ん、ぁ……あ、あ、ああ」
「ほら、もっと動いてやっから、体起こせ」
この体勢じゃ動きにくい。もっと気持ちよくしてやりてえし、俺ももっと桂ん中を味わいたい。
桂は俺の声に誘われるようにのそりと身体を起こした。
「くぅ……ん」
重力と自分の重さで深く沈み込んだのか、桂の綺麗な顔が歪められた。きゅと眉根が寄って、細い身体が震えた。
「俺に手を置いて」
桂は俺の腹に手をつく。
「足立てろ……そう、もっと俺に見えるように」
俺が言うとおりに、桂は動いた。足を開き、勃起した桂がよく見えるようにな体勢をとった。桂が少しでも腰を上げりゃ、俺から俺達が繋がってる部分がよく見える。
このまま自分で腰振れって命じたら、きっとそのまま動き始めるんじゃないだろうか。
「で、どうやって動いて欲しいんだ?」
揺らすように腰を動かすと、桂は自分で俺に尻を擦りつけるようにして自分からも動く。
「もっと、奥が……奥が好き」
「こう、か?」
深く、桂の内壁に突き刺すようにして、俺は腰を突き入れた。
「あ、ああぁっ!」
「ここが気持ちいいのかよ?」
「ああ、そこ……駄目っ……あ」
駄目って何が駄目なんだよ。んな締め付けてくるくせに。
くそ。
何で俺の手は動かねえんだ? さっさと解いてくれりゃ、もっと気持ちよくさせてやったのに。
動かせりゃ、桂の腰掴んでもっと奥まで俺を入れてやったのに。
「くぅ……あ、ん…ぁぁあっ、あっ!」
俺は桂のいい声をもっと聞きたくて、声聞くだけで俺の熱が上がるような気がして、もっと気持ちよくしてやりたくて、俺ももっと気持ちよくなりたくて、桂の反応が良いところばかりを狙って深く差し込んだ。
「ぁ、んんっ……」
桂の中が、きゅうきゅうと、締め付けてくる。キツいのに、とろけるくらい柔らかい。
そろそろ……もっと深く、もっと早く、乱暴なくらいまで、俺は桂の中を抉る。
意識が全部そこだけになっちまった感じがする。
桂とつながって、ただ、桂を感じて、熱くなってる部分だけにしか、俺は今何も感じられない。
もっと、深くて、熱くて、もっと桂を……
「ん…あ、ゃ、ああぁあ――ッ!」
熱い熱が俺の腹に飛び散る……桂の迸りが俺の腹に吐き出されたのを感じた。
激しい締め付けに促されるようにして……再び俺は桂の中に吐き出した。
桂が、イった。
俺のを深く咥え込んで、女みたいに喘ぎ声上げながら、俺が与えた熱で桂が……。
力をなくした桂の身体がゆっくりと俺に倒れ込んできた。
桂の体重で、俺と桂が密着する。
さっき桂が吐き出したものが、俺のと桂との皮膚でぬるく粘ついていた。
俺が二度も出したせいか、桂ん中から溢れてきていた。
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