20131106 後 









「君は馬鹿か!? なんでこんな時間にこんな場所にいたんだ!」
「えっと、すまねえ。なんつうか……」
「言い訳はいい! まず謝れ、僕に!」
「謝っただろうが!」
「誠意が感じられない! もっと誠心誠意僕に謝罪すべきだ」
「へいへい、すんませんでした」
「気持ちが全然こもってない! 君は、どんな状態だったかわかっているのか!?」
「あー……まあ、ありがとう。で、ほら、立て」
「断る」

 僕は僕の矢によって虚ろが霧散した後、さすがに力を失って地面に座り込んでしまった。

 どこか怪我をしたわけではなくて、疲れたわけではなくて、……いや、疲れたんだ。ものすごく。
 黒崎に怪我がなかったから、安心して、とりあえず、良かったって思ったら……足から力が抜けた。黒崎は慌てて僕の腕を掴んで起こそうとしていたけれど、悪いけど今僕は立ちたい気分じゃない。それに駅前のオフィス街だ。こんな時間に人通りも少ない。みっともないけれど、今僕にはそんなことを気にしている余裕がない。

「んじゃ、仕方ねえか」
「何が……わぁ!」
 いきなり、黒崎が僕を抱き上げた……何を!?
「さすがに俺だってここじゃどうかと思うんだけど……お前歩く気ないんだったら、俺が運べばいいだろ?」
 黒崎が、今僕を横に抱きかかえて……なんなんだ、このポーズは! 黒崎が死神の時は人前でも気にせずに僕に話しかけてきて、あれも困ったけれど、人通りがあるなしにかかわらず、これは人として恥ずかしい!
「黒崎、運ぶって何だよ! 君は何考えてわぁっ」
 思わず暴れたら、バランスが崩れて落ちそうになって、僕は黒崎にしがみついた。
「ぶねえ。暴れたら落ちるぞ」
 ……誰のせいだよ。
 落ちずにすんだけれど、僕は降りたいんであって落とされたいわけじゃない!
「自分で立てる! 歩ける! 下ろせ!」
「そ? じゃ、少し歩いたところ公園あるから、あっちに行こうぜ」
「………ああ」
 ようやく僕は地面に足を着けることができた……黒崎は何がしたいんだ一体。
 それで返事をしてから、何でだよって思った。

 別にわざわざ公園に行かずにこのまま帰ればいいんじゃないか? 虚はもう滅却したんだし、虚が消滅してわざわざ死神も来ないだろう。来ても待ってる義理もない。
 それでも黒崎はずんずん前に進んでいく。黒崎の家とは逆の方向のはずなのに……。

 黒崎は公園の入口の自動販売機でペットボトルを二つ買うと、公園に入ってすぐのベンチに座った。僕もそれに倣って座ると、今買ったペットボトルを渡された。
「奢りだったら貰うけど」
「いちいち可愛くねえ奴」
「君に可愛いとか思われたくないから助かる」
 貰ったペットボトルは、スポーツドリンクで、僕はそれを喉に流し込んだ。身体に染み込むような気がした……どうやら、喉は乾いていたらしい。

「で?」
「でって、何だよ」
「君がこんなところに連れてくる理由は、あるんだろ?」
「………いや、まあ」
「まあいい。僕も訊きたい事があった……君は何でこんな時間にこんな所にいたんだ? バイトか? それにしたってさすがに終わっているだろう?」

「えっと、バイトだったけど……じゃなくて、石田に会おうと思って」

「はあ?」
 

「今日、誕生日だろ?」
「…………ああ、そうだね。そろそろ昨日じゃないのかな」

「マジか……!」

 公園の真ん中に大きな時計台がある。
 時計を見たら、一応まだぎりぎりで今日が僕の誕生日だった。そろそろ昨日になる。

「じゃない! なんで僕が誕生日だって……」
「水色から聞いて」
「……そう」

 いや、納得してる場合じゃない。僕は小島君に誕生日を教えたことはないはずだけど、なんで知ってるんだろう、彼は。
 他にも情報を握られている可能性があるから、彼の無邪気そうな笑顔には気を付けているつもりだけれど……さすがに侮れない。

 ……いや、そうじゃない!
 確かに、今日は僕の誕生日だけど、それと黒崎が何の関係があるのかって意味でも聞きたいんだけど。

「石田っ!」

「な、何だよ」

「誕生日……えと、だな」

「?」

「だから、おめでとうって、言いたかったから……」

 ……黒崎は、夜目でも解るくらい赤くなって、


「…………………………」

「石田?」

「あ、あ……アリガトウ」


 思わず驚いてしまって、僕としたことが反応をすることを忘れた。

「別に、言うなら学校でも良かったんじゃないのか?」

「…………」
「黒崎?」

「るせ」
「何だよ」
「……タイミングが無かったんだよ!」

 怒鳴る必要はないだろう?

「……そう」

 確かに、学校では僕達はほとんど接点がない。黒崎が今でも死神代行なんかをやっていたら、こうして夜に会うこともあるだろうけど。

 黒崎が死神代行だった時は、夜に会うことも良くあった。

 学校では、顔を会わせれば挨拶くらいするけれど、会話らしい会話なんかは最近していない。何かがあれば口喧嘩……だけに留まらない事もあるけど、しばらく本当に同じ教室にいることを把握している程度の関係になってしまった。


 僕だって……本当は



「黒崎……ありがとう」

「……あ、いや。俺が、ただ、石田に言いたかっただけだし」

 黒崎が、わざわざ僕の誕生日を気にしてくれたらしい……困ったな。

 頬が熱くなってきてしまいそうだ……から。


「君の気持ちは嬉しいけど、じゃ、なくて! こんな時間に本当に僕の家に来るつもりだったのか? 非常識にも程があるんじゃないのか?」

 うっかり嬉しくて、緩みそうだった顔を気取られないために、僕は口調を少し荒げた。素直に喜ぶのは、僕にはレベルが高すぎる。

「いや、だから行こうと思ってたけど……バイトは九時頃に終わってたから、どうしようかって悩んでたらこんな時間になっただけだって。実際に行かなかっただろうが」
「なっ……九時からって、三時間近くも、馬鹿じゃないのか? 今日だってもう寒くなってきているのに、まさかそんな薄着でずっと外に居たわけじゃないよな?」
「まあ、コンビニ寄ったりしてたけど。それにまだそんな寒くねえだろ?」
「寒いよ! この服で来たけど、コート来てこなかったの後悔してるよ」
「その服の上にコートって、ありえねえだろうが。あ、そっか。お前、去年の冬場モコモコで本体がほとんど見えない装備してたもんな。石田って寒がりなんだ?」
「悪かったな。確かに僕は寒いのは苦手だよ。だから、君が僕に会うために外に居て寒くて風邪ひいたら、まるで僕が悪いみたいじゃないか」
「そんな事ねえだろ? 俺が勝手に外ふらついてただけだし、別に寒くないって」
「それに、なんで悩んだりしてるんだよ。似合わないな。さっさと来ればいいだろう? 君なんか近くまで来ればどうせ解るんだから」
「あ、行ってもいいって事?」

「……あ、いや。別に、今日は特に何もしていなかったし。掃除もしてあったし、寝る直前とかでなければ、一人暮らしだから、別に、いつ君が来ても困らないけど……」

 いや。
 困るな。
 たぶん、僕はものすごく慌ててしまうだろうから、困らないわけじゃないけど……でも、君が僕に会いに来てくれるのは、嬉しいって思う……それは、困るかもしれない

 じゃ、ない!

 どこからか、何だかずれた! 黒崎に聞きたい事と、僕が言いたいことの本筋、どこ行ったんだ!?

 僕としたことが、黒崎の能天気なペースにまんまと乗せられてしまったかもしれない。いや、自分で自爆した感じもするけれど、黒崎のせいにしておく……気を付けないとボロが出るから気を付けよう。

「石田」
「……なに?」

 少し、落ち着いた方がいいようだな。僕が。
 黒崎と話すのは久しぶりだ。しかも学校でみんなの目がある場所で喧嘩腰じゃなくて、こんな場所で二人きりで……少し、僕は緊張しているのかもしれない。


「あのさ……本当は、石田に言いたいことあったんだ」
「へえ……学校じゃ言えないことか?」

 何のことだろう。黒崎なんてデリカシーのデの字も知らなさそうな顔をしていて、実際にそんな崇高な概念を持ち合わせているのかどうかも怪しいけれど、他人に聞かれたくない話なんて、僕だけにしたい話……なんて、黒崎が持っていたことに、想像ができない。


「そ。ちょっと言いにくいこと」
「何だ? せっかくだから聞くよ」

 一体、何だろう。
 勉強を教えるとかなら、最近黒崎の順位が落ちてきているようだし、前もって連絡してくれればいつでもいいし、ぬいぐるみが解れたとかなら、持ってきてもらえばだいたい直せる自信はあるけど……。

「あのな……」

「黒崎?」
 黒崎は、僕に何か言いたいことがあるらしい。僕にできることだったら、いいのにって思うけれど……何だろう。僕の悪口だったら嫌だけれど。わざわざ僕の誕生日に僕に会いに来て悪口を言うこともないだろう。
 一体、何だ? 勝手に緊張して、少し握った手のひらの中に勝手に汗が滲んでくる……黒崎が今から言うことがなんであれ、僕が気負うつもりはないけれど、黒崎が黒崎らしからぬ歯切れの悪さで、だからきっととても言いにくいことだとは、推察ができた。軽い話じゃないのかもしれないから……。

 だから、僕にできることだったら、いいのにって……。




「俺……やっぱ、言うのやめる」

「はあ?」

「言いたいことがあったけど、言うのやめたって、今言いたくなったから言った」
「何だよ、それ!」
「だから、言いたいことがあったけど、言うのやめたっての、伝えたかったんだよ」
「だから、それはなんだ一体!」
 せっかく聞こうとしてやったのに……とんだ肩透かしだ! 今僕がどれだけ緊張していたのかわかってるのか、コイツは! 僕の心拍数返せ!

「でも、本当なんだよ。俺お前にずっと言いたいことがあってさ、ずっと考えてて、今日言おうって決めてた……だから、今日、お前の誕生日にって……だから、でも俺やっぱ自信ねえわ」
「自信って……」

「今、俺は何もできなくて、ただお前に守られてるだだった」

「……」

「力なくしたのを後悔してるわけじゃねえんだ。俺が死神じゃなくなったのは、自分でも納得してるから、それがどうだって事じゃなくて……でも」

「……」

 黒崎が死神の力を失ったのは、今僕達が生きている代償だ。
 僕も、だからまだ生きている。

 だから、僕が君を守るんだ。君の代わりにはなれないかもしれないけれど……黒崎は死神で、僕は滅却師だ。黒崎の失った力とは異質な力だけれど、それでも僕ができる限りの力で、君が守りたいものを僕が守る……守りたいって思っている。

「俺、納得してるつもりなんだ。お前と違って俺なんか、ずっと死神なんかじゃなくて普通の高校生やってたんだし、そうやって生きてきたんだし、だから俺だって死神じゃなくても、俺は俺なんだって思ってた」
「ああ……そうだね」

 黒崎は、黒崎のままだ。
 君は、君でいればいい。
 君が失ったもの、僕が少しでも補えていれば、僕はそれがいい。

「でも……さっき、すげえ情けなかった。お前に守られてて、俺、どうすることも出来ねえし、石田の事、助けてやるどころか見てることもできなかった。悔しいって、思った」

 力がなくなったんだ。
 見るための能力すらなくなってしまった黒崎の気持ちは、僕も、少なからず理解できると思っている。

 僕も、力を無くしたことがあるから。

 僕はすぐに取り戻せたけれど……自分に力がなくなってしまった恐怖は、理解できた。何もできない自分は怖かった。
 届いた場所に行けない、守れたものを守れない、自分の手足がなくなってしまったかのような歯痒さは、僕にも解る。

「僕は……君を守れたから。よかったって思ってる」

 よかったって思っている。

 君が、どこにも怪我をしなくて、良かった。
 僕は、君を守れたんだ。

 口に出して言うことは決してないだろうけれど、僕は黒崎を好きだって、黒崎は知らない。知る必要なんかないけれど。
 僕は、君が好き。
 だから、僕が、君を守れた自分を嬉しく思うんだよ。
 黒崎を好きだと思っている自分を知っている。
 これが仲間意識からくる友情なのか、恋愛感情と呼ぶべきものなのか、僕には初めての経験だから解らない。ただ、僕は黒崎が好きだ。それがどう呼ばれるものであっても、好きだという事実は変わらない。僕の気持ちはそれだけでいい。

 黒崎への気持ちに気がついたのは、たぶん黒崎の暖かくて力強い霊圧を感じることができなくなってしまってからだと思う。
 戦っている時に、近くに黒崎がいると安心したんだ。黒崎の霊圧を感じると、僕が強くなれるようなそんな錯覚がしたんだ……居なくなってしまった。間違っていたわけなんかじゃない。ああするしかなかった。
 でも、寂しくないといえば嘘だ。
 戦っている時に、黒崎を感じることができなくなってしまった。寂しいって……

 だから、やはり、仲間意識が強くなったものなのかもしれない。この感情は恋なんて呼ぶような物でもないのかもしれない。
 だとしたら、どういった感情なのか僕にはよくわからないけれど、結局はこの感情に名前をつける必要を感じていない。僕は自分の気持ちを受け入れたら、嬉しかった。君を好きになれた自分すら好きになれるような気がした。僕はこの感情を否定しないけれど、でも、君には重荷として受け取られてしまうだろうから、僕は僕の心を知っているだけで十分だ。
 僕は確かに黒崎を好きで、君を失いたくないと思っている。だから、僕が君を守る、それだけでいい。

 だから……さっき、僕は本当に嬉しかったんだ。
 僕は、君と君のこれからを守ることができた。


「……少し、切れてるぞ」
 黒崎が、ふと……僕の頬に触れた。心臓は一瞬爆発したような気がしたけれど、黒崎は親指の腹で僕の頬を撫でる。すると、ピリピリと痛みが走り、黒崎はその親指を見せてくれたけれど、赤い筋が走っていた。
「本当だ」
 きっと、さっき突進してくる虚の攻撃を受けた時の衝撃派でやられたのだろう。鏡を見るまできっと気付かなかった程度の傷だ。そんな程度の裂傷は虚との戦いの中に身を置いていれば、いくらでもある。傷を思い出す前に治って、また新しい傷がつく。

「俺……もう死神の力なくなって、俺はこんな事でお前を助けてやることができなくなって、それがすげえ情けなくて……悔しいって……」
「………」
 気持ち、解るよって、きっと黒崎はそんな同情を欲しがっているわけじゃない。黒崎は僕が一度霊力を失ったことも知らないのだから。

 黒崎が、抱えてる想いを僕は教えてもらった。

 いつも能天気そうな髪の色で、不機嫌そうな顔をして、何を考えてるのか解らなくて、結局単純な猪突猛進過ぎて僕には追いつけなかったりする思考回路を……今、僕は少し見せてもらった。
 僕は、黒崎の弱音を聞かせてもらったんだ。

 嬉しいって、きっと不謹慎だ。
 でも、嬉しいって……そんな事言えないけれど、黒崎が僕にそんな事を、きっと誰にも言えないことを、黒崎の秘密を僕にだけ教えてくれた事は、僕の誕生日で一番嬉しいプレゼントだった。

 ああ、そろそろ今日が終わる。



「でも、それじゃやっぱ悔しいからさ」

「黒崎?」

「自分が情けねえのなんて、死神だった時だって同じだったんだ。死神の力がなくたって、ちゃんと俺自分に自信持てるようになって、そんでお前に言うから、待ってろ」
「え? ああ。何を?」
「お前が好きだって」


「……え?」

 心臓は、その言葉によって一瞬止められて……その後急激な速さで全身に向かって流れ出す……今、黒崎、なんて言った?

「ん? ………あ」

「………」

「…………」



 今……黒崎はなんて言ったんだ?
 僕の聞き間違いじゃなければ、僕を好きだって……そう聞こえたからきっと聞き間違いだったのかもしれない。そうだ、きっと僕の聞き間違いだ。


「……っと、今の、ナシ! ナシだからな! 聞こえてねえよな!?」

「あ、ああああああ、ああ、そうだな。聞かなかったことにしておくよ」

 そうだ。聞き間違いか、空耳を聞いてしまったんだ。聞かなかったことで間違いがないはずだ。その選択肢が正しい。

 そう。
 さっきからあまり日常では起こらないことに対して、動揺している。確かにあまり想定外の事態に遭遇することは得意ではない。最初から全てをシミュレートしてその範囲内で行動することが得意であって、だから黒崎は僕の想像の斜め上だったり、僕が緻密に計算したものを全てぶち壊して進んだりするから、だから僕は黒崎がって……いい加減に僕は少し落ち着いたほうがいい。

「……石田?」
「何だ?」

「いや……だって、聞こえただろ?」
「……………一応」
 そうか。黒崎も言った自覚があるなら、どうやら僕が僕の妄想を勝手に耳が受信したわけではないようだ。

 ………つまり、黒崎が……………一気に頭のてっぺんまで血液が上がっていくような気がして、自分の体温にのぼせてしまいそうになる。


「石田は、嫌だって言わねえの?」
「あ……」

 そう、か。

 僕は僕の気持ちを僕が知っていればそれでいいって思っていた。
 黒崎に伝えるつもりなんかなかった。黒崎が僕を重荷に感じたら、嫌だと思っていた。言わないほうがいいって思っていた。

 もし僕が黒崎に考えていたように、黒崎の感情は僕にとって不当なものだと思っていたら……だとしたら、僕はそれを聞いた時点で、このリアクションではないはずだ。

 今の黒崎みたいに、きっと僕は耳まで赤くなってしまっている。黒崎の気持ちを不要に思うのだったら、きっと今僕はこの反応ではないことを、黒崎も解っている……。

 僕は自分の気持ちを黒崎に伝えることはないと思っていたけれど……僕が黒崎の気持ちを知ってしまった。そのことで、どうやら、黒崎にも伝わってしまったようだ。

 そうか……。

 嬉しくて……でも、とても残念だ。

 今すぐに、手に入らない。僕が手を伸ばせばもしかしたら手に入ったのかもしれないのに、僕が手を伸ばしても届かない所に置かれてしまった。

「……石田、あの、俺」
「ああ。解っているよ」
 黒崎が今言った言葉を、僕が反故にするわけにはいかないから。僕は今のを聞かなかったことにしないといけない。
 黒崎が、力を取り戻すことはできなくても、自分が自分だと自信を持つことができるまで……最初から僕は伝えるつもりすらなかったんだ。その程度なら、きっと待てる。

「聞かなかった事が出来て良かったよ。これで心の準備はしておけるからな」
「おう。覚悟しとけよ。すぐかも知んねえからな」

 黒崎は、僕を見て、笑った。
 まだ顔は赤かったけれど……それでも、僕が見たこともないくらい、黒崎がまっすぐに、僕に向かって笑ってくれた……。


「ちゃんと、お前の目を見て今の言葉、言えるような俺になるから、さ」


「ああ……楽しみに待っているよ」













ピクシブに11月07日0時10分に載せました……十分間に合わなかったとか、悔しかったです。こっちに持って来たので、ピクシブの方は下げます。

20131110
10,000