1Mの恋 水色は3年の女子に呼ばれてていない。啓吾の奴は次の時間当たるってんで、石田の予習済みのノートを教室で写してる。 チャドは越智に連行された。どうやら力仕事に借り出されたらしい。 昼休みの屋上で、珍しく俺は石田と二人きりになった。 なったはいいが、会話がねえ。 最初の頃のギクシャクした感じは無くなったが、折角の機会を生かせない自分のシャイさに内心苛立つ。 ────俺は石田が好きだ。 だから一緒にいるとすげ嬉しくてドキドキして軽くテンパっては石田に引かれる。 相手が女子でもどうしたらいいか分らなくなりそうなのに、もう石田を選んだ時点で敗北は決まったようなもんだ。それでも。 例え告白して玉砕したとしても、石田への気持ちは変える事は出来そうに無いけどな。 石田は俺から1Mくらい離れて座っている。咀嚼が遅ェのか、とっくに弁当を食い終わった俺の隣でまだもそもそと食ってる。 手を伸ばせば届く距離まで近づけた……この距離を、壊したくない。 「今日は随分と大人しいな、黒崎。いつもみたいに憎まれ口を叩かないのか?」 「てめ……憎まれ口を叩くのはお前の方だろうが。俺は本来物静かな男なんだよ。」 心の中は饒舌だけどな。 俺という人間を自分なりに分析すっと、好き以外はスルーで感情を隠すのが苦手で、言いたい事は全てぶちまけてしまい(一言多いのだいつも)損をするタイプだと思ってた。 そんな俺にも、伝えられない言葉なんてあったんだな。 口にすれば、それはとても短いものなのに。 『好きだ。石田が好きだ。大好きだこんちくしょう……』 伝えたいのに伝えられない。 手を伸ばせば届くのに、伸ばせないままこの距離はきっと埋まらない。 恋を知り、切ない想いを知り、俺は1Mという距離をずっと維持していくんだろうか? 多分石田の精一杯の許容範囲。 「俺のこと、疑いもしねーんだな………」 小さく漏れた俺の声は石田に届く事なく、青空に吸われて消えた。 1Mの恋は、甘酸っぱくこれからも俺を翻弄するだろう。 この恋は、まだ始まったばかりだ。 |
snow様に頂きましたっ!! 頂いちゃいましたっ!!
うっかり可愛くて、外で読んだ時に百面相致してしまいました。
可愛いのです。
こういうもどかしい感じが可愛くてたまらんのです。
徐々に間を詰めていって、1pになった時にまた戸惑えば良いよっ! 可愛い。
いつものsnow様のテンションの高いお話もとても面白いのです。
snow様の他の作品も読んでみたい方は是非此方から行ってみて下さい→■
snow様、本当に本当に有難う御座いました! テンション上がりました。
ちなみに最後にイラストをつけるなどと言う余計な事しでかしたのは管理人の私です。ごめんなさい。
余計ついでに台詞も足してみる。
090918