31
 警告

 性的な描写が含まれます。
 苦手な方と、16歳未満の方は以下は読まないで下さい



































 身体中の力が抜けた。

 僕は立つ力も無くなってしまって、膝も、身体中の関節が弛緩してぐったりとポッターに体重を預けた。

 ポッターの首筋に顔を埋める。






 ああ…………。




 何てことだ。



 まさかポッターなんかに……悔しいとか……僕だったらきっとそんなことを思うべきなのだろうけど……。




 僕の中では羞恥と罪悪感でいっぱいだった。
 ポッターの手を汚してしまったこととか。


 恥ずかしいし。




 なんて謝れば良いのかわからなくて、僕は顔を僕に押しつけた。きっと耳まで赤くなってる。
 恥ずかしい。







「気持ち良かった?」
「ぁっ………」



 ポッターが僕の耳に息を吹き込むから、また僕は反応して身体が動いてしまった。

 何なんだ、僕の身体は。
 自分の物なのに言うことをきかない。



「ねえ」
 またポッターが意地悪く僕の耳に口をつけて喋る。
 くすぐったくて、身体の中身が弾けるような感覚。





 気持ち良いかどうかなんて………。







 何を言わせる気だ、変態!
 そんな恥ずかしいこと言えるはずないだろうっ! てことを伝えるために僕はポッターにしがみつく手に力を込めた。
 のに!




「ちゃんと言ってくれないとわからないよ」

 耳はやめろっ!

 一体僕をどうする気だ!
 僕は答えるつもりなんかはなかった。そんなこと言わせるだなんて、ポッターはなんて変態なんだ!

「やぁっ……」

 いきなり握るな!
 僕が何も言わないで……言えないで黙っていたからってまた触る事ないだろう! イったばかりだから、さっきより敏感になってるみたいで、少し触られただけなのに、全身の筋肉が反応して収縮した。

 身体中の皮膚がぴりぴりする。





「あっ……ん」

 剥き出しになった僕の肌をポッターの手が滑る。


「ねえ……どうだった?」

 ポッターの声が僕の耳に吹き込まれる。







「…………た」

「聞こえないよ」

「良くて悪かったなっ!」


 一体何を言わせるんだ! もう僕は恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ。


「そっか。気持ち良かったんだ」
「…………」

 もう二度とこいつと口をきいてやるものかという気分。

「じゃあ、次は僕が気持ち良くなっていい」




 …………。



 そう言うものなのか?
 まあ、僕ばかりがこんな風にしてもらって、ポッターはまだ見事な硬度をもっているのに、このままにしておくことなどはできないだろうから………。



 つまり、僕がするのか?
 今僕がしてもらったことをポッターに……?

 無意識に赤面する。

 確かにびっくりするほど気持ち良かった。自分でするのとこれほど違うのかと思うくらいに気持ちが良かった。僕だけがすっきりしてしまってそれは申し訳ないのかもしれない。



 ポッターのはこんなになっているんだし………。


 同性のモノなんか触ったことはないし、触るとも思ってなかったし……。
 どうすれば良いのかなんてわからないけど、まあ、今してもらったことを思い出して同じようにすればいいだけだ。大丈夫、落ち着いてやればできる!



 そう思って意を決してポッターの股間に手を伸ばしかけた時に、僕は自分がとんでもない思い違いをしていたことに気がついた。





 いきなり、僕の後ろに指を差し込まれた。

 …………!

「あっ!」
「ここ、いい?」

 …………………




 いいって、……いいって何が?!

 僕の指が無遠慮に僕の中に侵入してきた。


 さっき僕が出したモノがポッターの指についているようで、ひどくぬめぬめしていた。
 指が差し込まれて、僕の中をかき混ぜる。




 やめろっ!
 そこは出す所であって入れる所なんかじゃないんだ!

 僕は、口が聞けないくらい驚いた。驚きすぎて声が出ない!
 やめろよ。
 そう言うつもりなのに……。

「あっ……ぁっ、ん」

 なんて声を出してるんだ、僕は!
 何なんだ、この変な感じは。


 そんなこと触るなよ。汚いんだから。

 もう、僕はわけがわからない。なんで僕は抵抗しないんだ。
 こんな所物心ついてから誰にも触らせたことなんかないし、しかもその内部なんて人生でこれからも自分でも触るような場所じゃない。
 それなのに………。

 入り口が無理に広げられてぴりぴり痛いのに。
 そこは内蔵の一部だ。なんでそんなとこ触るんだ。

「やっ、……ん」

 やだって言えないけど。

 やめて欲しいんだ。
 でも触っていて欲しいんだ。
 僕に。
 僕だけに………。





 ………



 今僕はまさか、ポッターの手は僕のモノだ的な独占欲を出さなかったか?


 確かに今僕はポッターに触られて、今とても気持ちが良くなっている。だがこの快楽を広く他人が味わえばいいと慈愛を他者に分け与えるつもりなんかはない。



 この手は、僕のだ。
 もし拒絶したら他の誰かのモノになってしまいそうで……。それは嫌なんだ。


 だから。




 ポッターが好きとかきっとそんな事じゃない。多分。

 そう言うことじゃなくて、僕はきっと気持ち良くなりたいだけなんだ。好きなはずないじゃないか。

 無理矢理入口を広げられて痛いのに、触られてる事だけはなんだか嬉しい。

 それだけは認める。

 指が抜き差しされるたびに僕は変な気分になって、鼻にかかったような声を出してしまう。
 変な気分。
 気持ち良いような、くすぐったい時の何倍ものむず痒さが内蔵を押し上げて来るような……。
 僕はさっき出したばかりなのに、また立ち上がりかけてしまう。恥ずかしい。僕が欲求不満みたいじゃないか。


 僕はポッターの手が……僕を気持ち良くしてくれる手とか唇とか……好きなんだ。





「……痛い?」

 そう訊くから………。


 ああそうさ、その通りだ! 痛いに決まっているだろ。
 だけど僕が嫌がったらやめる気だろ?


 それに、痛いだけじゃなくて……なんか……。

「痛いけど……でも」



 続けて欲しい。

 やめないで欲しい。
 どこかに行かないで。
 どこにも行かないで僕に触っていて。
 痛いけど、触られてるのは気持ちが良いんだ。









「入れていい?」
「……………」


 …………。






 ああ……………。

 そう言う事かっ!

 そこに入れるのかっ!
 何となくそんな予感はしてたんだ。だけど、まさか……まさかとは思っていたんだ。用もないのに触る場所じゃないのに……
 ああ、そうか、用はあったんだ。





 無理だって、入るわけない!
 しかもポッター、お前はどれだけ膨張させてるんだ!
 ポッターのズボンを押している物は苦しそうなほどに張り詰めているのがわかる、布の上からでも形がわかりそうなほどだ………。
 男は大きい方がいいだなんて誰が言い出したんだ。これはただの凶器にしかならないぞ。






 …………無理です、ごめんなさい。





 ああ、今更どうやって謝ろう。誠意を持って謝罪すればきっと伝わるはずだ。無理だよ、やってみればわかるはずだ。
 入るわけなんかない。
 そう言おうと思って。



 ふわりと。


 重力が、


 僕はポッターに抱き上げられていた。



 僕だって男なんだから、女の子と違ってそれなりに重いだろうに、ポッターは軽々しく僕を抱き上げた。
 僕はバランスを崩してポッターにしがみついた。

 なんだか……。
 僕は何も着ていないのに、ポッターがローブまで着ている事が気になった。

 素肌に当たるとごわごわするんだ。

「ポッターも、脱いでくれ」
 そうでなければ、僕に服を着させてくれ。

「………ドラコ……」

 ポッターが言葉に詰まっていたようだけど……。

 少し歩いて、今は使われなくなった机に僕を座らせた。
 僕を座らせて、そのまま僕の背を支えたまま机の上に倒した。何も着ていないから、冷たい。ひんやりとしていて、ほてった身体には心地よいくらいだったけど。





 ポッターはすごい勢いで服を脱ぎ捨てていた。
 いや、別に全裸になれだなんて言ってないから。恥ずかしいじゃないか。見られる方が恥ずかしいけど、見るのだってそれなりに恥ずかしいんだ。
 ポッターの肌は僕よりも陽に焼けていた。比べるとよくわかる。まるで僕が不健康そうじゃないか。なんだか気に入らない。

 胸板も僕より厚くて、気に入らない。
 いつか抜かしてやるさ。


 全部脱ぎ終わったポッターが僕の膝を開いて足の間に身体を入れてきた。抵抗する気はないけど、無理ですから本当ゴメンナサイやめて下さいとどう言えばいいのかと逡巡しているうちにポッターが僕の顔を見た。。

 こんなに僕を全部さらけ出していて、ポッターが僕の顔をのぞき込んで………。








 緊張が行き過ぎて、恐怖に近い。




 怖い。



 ポッターが僕の足を広げて、押し上げる。
 今までポッターに弄られていた所が丸見えだ。

 恥ずかしい。



 そんなとこ、見るなよ。



 怖いんだ。



 何をされるのかわかっているけど………わかっているから、だから。

 そんな僕の表情を読み取ったのか、ポッターが僕にキスをくれた。

 キスは好き。
 もう慣れた。

 いつもの行為だから安心するんだ。
 キスをされながら………。


 ポッターのが後ろに当たっている………。





 入んないって!
 無理だって、絶対!



 キスを受けながら……。





 めりめりと音が聞こえそうだっ!!!


 痛い、なんてものじゃない。



「ああっ!」

 切れる、裂けるっ!

 内蔵が口から押し出されてしまいそうだ。中身から潰されてしまいそうだ。



 やだ、痛い。
 やめてくれ、本当に痛いんだっ!



 そう言いたかったのに!

 声なんか出せない。

 叫び声を上げるのが精一杯なんだ。息もできないくらい……。



 ポッター、ポッター苦しい。

 逃げたいのに、ポッターが僕の腰を押さえ付けていたから逃げることもできない。
 唯一動く首を振り、喉が潰れそうなほど叫んだ。




 痛い、痛いって。
 助けてくれ、ポッター!

 意識が遠くなるほどに痛いのに。


 なんだ?




「動いていい?」
 

 良くない!

 さっさと抜いてくれ。
 そう言いたいのに喉が引きつってうまく声が出ない。

 ゆるゆると小刻みにポッターの腰が動き始めた。

 ゆっくりと、それが徐々に大きくなって。

「あっ……ふ、ぅん」

 出し入れされる度に痛いのに、変な声が出る。
 ポッターが動く度に、痛いのになんだか得体の知れない疼きが身体に広がってきて、僕の背骨を突き破りたがるような………なんだ、これは。





 こんな感覚、知らない。

 自分が誰だかもわからなくなってしまうような。




 ここにいて繋がっている感触ははっきりしているのに僕がどこかに行ってしまいそう。ここがどこだか僕が誰だかわからなくなる。そんなとこ、どうだっていい。
 興味が無い。




 今は……、

 繋がっていることが、





 僕の中にいるポッターが、
 それが全部になる。




「……っああ、あっ……ん」


 繋がっている所から濡れた音と、ポッターの荒い息遣いと、僕の声が……。


 遠くから聞こえる。

 要らない。





 もう全部要らなくなりそう。


                    呑み込まれる

















070327