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 警告

 性的な描写が含まれます。
 苦手な方と、16歳未満の方は以下は読まないで下さい





































 優しくされるのは好きだ。
 優しくされて、頭を撫でてくれるのは、馬鹿にしているのかと始めは思ったりもしたけど、意地を張らずに素直にその行為を受ければ、キスをされるのと同様に気持ちがいい。
 僕がわけわからなくなって泣き出してしまってから、頭をずっと撫でていてくれた。まあ僕を泣かせたのはポッターなんだがな。


 優しくされたいと思う。慰めてくれるポッターは嫌いではない。
 今までのことがあるからなのか? ポッターに優しくされるのが嬉しい。今までずっと対等な相手と認識して喧嘩をする相手だったから……だから、ポッターに尽くされると僕の方が上の立場に立っているような気がするのだろうか………。




 だったら、この敗北感は一体何なんだ!



 負けなんかは認めないぞ。いや、別に勝負をけしかけたわけではないのだが……。

 ポッターが僕を見ている。

 僕はまた泣きそうになった。さっきまで泣いてたのに。僕の涙は涸れない。身体中の水分を目から出してる気分だ。
 何でなのかはわからない。
 ただ、僕を見ているくせに、僕を見ていてくれていないのが悔しい。
 そんな気がしてしまうことがまた僕を苛立たせる。ポッターのことなんか気にしたくなんかないのに。
 だってポッターの目はリズを見ている時と同じなんだ。

 僕を見ているのに………。




「嫌だったら、抵抗してね」
 ………嫌だったら?




 
 時々僕にキスをする時にポッターはこう言うけど……それにどんな意味があるのかポッターはちゃんとわかっているのか?

 それに、さっき嫌だったら諦めるとか言ってなかったか? もし僕が今ここでポッターに嫌だといったら……どうなるんだろう。






 嫌だよ。
 嫌に決まってる!
 全部嫌だ!


 お前も、お前が好きだと思ってる奴も全部嫌いだ! 

 それは僕じゃないんだ!
 そう言いたいのに。
 言いたいんだ、言ってしまわないと……



 でもポッターが僕に口付けるから。
 触れるだけだけど……。
 言おうと思えば言えた。
 今でも、触れるだけだから、嫌だってそう言えるのに。




 ただ、キスは好きだから……。


 喋ったら、キスができなくなってしまうから。
 だから、言わない。






 触れるだけの柔らかなキスが繰り返される。
 頭の芯がじんとしてくる。
 ポッターが僕のシャツのボタンを外していることにも気付かないほどに……。

 何を、しているんだろう。
 キスに夢見心地の僕はぼんやりと考える。
 別に息苦しいわけではないのに。
 暑いわけではないのに。


 なんだ。

 ポッターが前を全部開いたシャツを僕の肩から滑らせてローブと一緒に床に落とした。

 ああ、ちゃんとハンギングしないとしわになってしまう。こんな事ばかりしているからお前のローブはいつもお前のようにだらしがなくくたびれているんだ。ぼんやりと考える頭もどこかにあった。

 でも、キスが気持ち良くて。

 剥き出しになった肌をポッターの手が滑る。
 何だろう。
 何でだろう。
 触れられただけなのに……何で僕は気持ちが良いと感じているんだろう。
 シャワーを浴びて身体を洗う時に僕だって同じように自分に触るけど……気持ちが良いなんて感じたことない。
 何でだろう。
 変な魔法でも使ってるんじゃないのか。
 そう思うけど………。

 唇を離すと、ポッターはもう一度僕の目を見た。
 この、目は嫌いだ。

 どうせ僕を見ているんじゃないんだろ。

 どうせ、リズを見ているんだろ。
 顔は同じだけど、でも僕はリズじゃないし女でもないんだ。

 ポッターの唇が僕の口から頬へ移動して、そのまま首筋に滑らせて肩にキスをしてくれた。

 気持ちが良い。
 ぼんやりとしてくる。



 嫌だ………。

 この手で触れてもらえなくなるのが嫌だ。

 僕に触れて気持ち良くしてくれるポッターの唇や手が好きだ。

 でも、ポッターは嫌いだ。
 僕を好きなわけじゃないんだから、どうせ。僕を好きでもない奴を好きになってやる義理なんかない。
 でも、きっと嫌だなんて言ったらもう触れないつもりだろう。それは嫌だ。
 触って欲しいんだ。

 そっと僕に触れて、身体中にその暖かい手を滑らせる。ポッターの手は僕よりも大きくて、僕よりもごつごつしていて、ささくれもあるから時々ちくりとするけど、それでも気持ちが良いんだ。

「綺麗……」

 ポッターが僕を見て溜め息と一緒にそう言った。

 恥ずかしい。
 賛辞なんか聞き慣れているはずなのに、なんでこう恥ずかしいのだろう。
 それでも嬉しい……。

 ポッターがもう一度僕に口付けた。
 今度は深いキス。
 これも、好き。

 ポッターの舌は強引で、僕の口の中をかき回す。口の中に唾液が溢れてきて、僕は何度も僕のかポッターのかわからない唾液を飲み込んだ。
 それでも唇から溢れて頬を伝う。

 なんで……おかしい。

 くらくらと。

 立っていることができなくなりそうで、僕はポッターの肩に掴まった。



 熱が一か所に集中して来る。


 恥ずかしい。
 こんなに密着してるから、ばれちゃうじゃないか。





 キスされて半立ちになっているだなんて、悟られちゃ駄目だ。




 でも……。
「ぁ、ん!」



 変な声を出してしまった………。









 いやいやいや、そこはちょっと待て!
 貴様どこを触っているんだっ!


 ついうっかり流されて夢見心地になっていた。
 ズボン越しにやんわりと触られて総毛立つほどの感覚を味わい、正気付いた。



「ちょっ……待てポッター!」
「何? どうしたの」
「人の股間に何の用だっ!」
「いや、大きくなってるから」
「何言ってるんだ、馬鹿!」
 気付かれていた事に僕は見事に赤くなる。
 ばれてたのかっ!

 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!

 キスされて触られてっ!
 それだけで……。
 僕は男なのにっ!
 お前だって男だろ。

 そんなとこに用はないはずだ。
 
「大丈夫」

 ポッターが大丈夫だって言った………そう言って僕の手を取った……僕の手をポッターの………。



 ポッターのはガチガチだった。



 …………。

 




 …………。





 釘が打てるんじゃないだろうか、これで。






 僕は赤くなる。
 僕と同じようにキスで気持ち良くなっているんだと思うと恥ずかしいような、嬉しいような………。




 嬉しいって……僕は一体何を考えているんだっ!
 男同士で股間膨らませて何が楽しいんだ。

 その……キスすることくらいはできるけど、その後は……僕達は男同士なんだぞ、どうにもならないだろ。



 僕は、とりあえずポッターの身体をまだ力の入らない手で押しのけた。キスしか出来ないんだ、どうせ僕達は。




「抵抗しないで、気持ち良くしてあげるから」

「…………」



 しろって言ったりするなって言ったり……どっちだよ!

 するなと言われるとしたくなる。


「ポッター? 何を……」

 僕が口を開くとポッターがキスをして僕の口を封じた。

 頭を手で固定されて、息苦しいほどの深いキスをされる。抵抗するなって……力が抜けて、抵抗なんかできない。僕の手は立っているために僕の肩に掴まることだけに使われてしまっているから。
 抵抗できないようにしておいて、するなとは何ごとだ。

 ポッターは頭を固定して、そのまま僕の大きくなった場所をズボンの上から僕の形を確かめるように触る。
 なんだ、これは………。

 僕だって健全な男子なのだから、それなりに自分でしたりもするけど………。猥談に聞き耳を立てている限り僕が一人でするのは回数的には多分ほとんどないけど……それでもこの僕にだって、我慢のできない生理現象は存在するわけで、まあ、それなりに僕だって自分でその欲求を処理したことはあるけど……。




 確かにポッターに触られた時のことを思い出して抜いたりしたけど!





「あっ……ん…ぁ」
 僕はなんて声を出しているんだ………。

 勿論同室の奴の手前、声なんて出せない。処理をする時は遮音の魔法をかけるから、外には決して漏れないだろうけど、それでもこんな変な声出ないぞ!


「っ……あ……ぅ」



 止まらない。
 それもこれもポッターが触るからだ!


 何なんだよ、この感覚は……。
 自分で触るのと違う。
 もっと、もっとなにか変になりそうだ。

 ズボンのベルトが外されて、ファスナーが下ろされて、下着の間からポッターの手が滑り込んで、僕を直に握った。

 前も、掴まれたけど……あの時は本当に痛みと恐怖しか感じなかったけど……今だって……怖い。
 けど、それでも、

 僕が変になってしまいそうで、怖い。
 でも、どこか期待している。





 ポッターの手は、僕を気持ちよくしてくれる手だってわかったから。








「ぁん……っ」

 声が押さえられない。



 身体が熱くなって来る。身体の中を巡る血液に沸騰した液体を注がれたようになる。
 我慢ができなくて。



 ポッターが僕のを握ったまま手を動かすから……。




 僕はポッターにしがみついた。
 苦しい。
 呼吸困難になりそう。それでもポッターはキスを続けていて、僕もそれに答えなきゃいけなくて。
 口の中でポッターの舌が暴れまわる。息が出来ない。


 喉が引きつりそうになる。







 もっと触って。

 もっと、僕を気持ちよくして。





 もっと、もっと欲しくて僕は知らないうちに腰を動かしてしまう。




 足に絡まっていたズボンが重力に従い床に落ちた。


 何がなんだかわからなくなるよ。


 わからない。




「……ポッターっ、もう……」




 背中を上る熱いものが頭の裏の方で弾ける。








 ああ………。


 目の前が原色のインクを撒き散らしたようにちかちかする。











 僕はポッターの手で達ってしまった。

 ………………。











070326