この話には一部性的な描写が含まれますので閲覧は18歳以上の方を対象にさせていただきます。
夢の中まで
「……ぁ」 ずるりと身体の中から一護が居なくなる感覚に、つい身体が反応してしまった。繋がっていた場所から、一護が出したのが、溢れてどどりとした感触が伝う。 達したばかりの余韻はまだ治まらず、僕は身体を重力に任せ、ベッドに身を沈ませた。 一護が僕を見て、そっと手を伸ばした。 暖かい手で、僕の頭を撫でてくれる。 一護が僕の髪に触れる手が気持ち良かったんだ。 黒崎じゃない。一護が、今僕の目の前に居る。 「雨竜……」 一護が呼ぶ僕の名前は、何故だろう、凄く暖かい。怖い顔をして、黒崎よりも怖い顔をしてて、人間じゃなくて、死神でもない、霊圧は虚の物と同質だ。黒崎の霊圧と同じなのに、それでももっと痛い。 一護……黒崎の中に居る、虚。 僕は、君を知っている。僕は、僕だけは一護を認識できていた。僕が人一倍虚の気配に敏感だからだろうか、だから、僕は一護を知る事が出来た。 「……一護」 そして何故か、僕が呼ぶ一護の名前はひどく照れ臭い。でも、嬉しい。 僕は君を知ってる。僕だけは君を認識している、そんな独占欲だ。 本当の君は、黒崎の心が作り出した幻影なんかじゃなくて、今ちゃんと僕の前に居る。 「ねえ……ずっと一緒に居てよ」 肌と肌を密着させる。一護の身体は暖かい。僕は、一護の胸にそっと顔を伏せる。生きてるだなんて、そんな事を想わせて……人間ですらないのに。 僕の頭を優しく触る一護の手は、大きくて暖かい……何でだろう。何で、僕は君がいいんだろう。何で一護は僕を選んでくれたんだろう……。 「……ああ、ずっとお前と一緒に居る」 嘘つき。 僕はその言葉を飲み込んだ……。 ただ、その代わりに、一護の身体に腕を回した。暖かい。優しい心音。ほら、一護は生きて、ここにいるじゃないか……。 ずっと……だなんて、言わない。 せめて、僕は、朝までこうやって一護の腕の中で眠りたい……。 だけなのにっっっっ! ■ ■ 目が覚めた、なんか腹のあたりが重い。 そんで、俺の胸に誰かが乗ってる事に気が付いた。 って……… 「……ぅあっっっ! いいいいい石田っ! てめ、何やってんだよ!」 そもそも、ここは何処だ? いや知ってる。何度か目が覚めたらここに居た事がある。石田んちだ。そんでだから、今俺の上に乗っかってる頭が石田だってよく理解している! 何でだよ、またかよ! 「……ちっ」 混乱してる俺をよそに石田はあからさまに不機嫌そうな顔で舌打ちをした。 「何だよ、カンジ悪ぃな! 舌打ちしてんじゃねえよ! 何なんだよ!」 「寝てろよ馬鹿! せっかくいいところだったのに」 いい所って……。 石田が、憮然とした表情で俺の上から退いて、枕元に合った眼鏡を装着した。んで、きらーんて冷たい光を放った……目が。 「てめえ……てめえら、また……」 いや、うん。 知ってた。知ってたけどさ! 俺ん中に居るアイツがどうやら石田の事を気に入って、俺の意識がない時に石田とあれやこれやしてたの知ってたけど! 起きたらこうやって石田んちで寝てた事あるけど! あるけど、こんな……だって、 「仕方ないだろ? 君だって好きな人できたら、キスとかそれ以上だってしたいだろ?」 憮然とした表情のまま石田は床に降りて、床に落ちてた下着を拾って、当たり前のように白くて細い足を通してた……けど! お前、今、何で裸だったんだよ! 「いや、キスって! だって俺、ファーストキス、まだ……」 まだ彼女もいた事ねえから! したことねえから! てか、それ以上って、もしかして、俺、知らねえうちにファーストキスどころかそう言うのとっくに終わってたのかよ! 「君とじゃないから安心しろよ」 「俺とじゃねえって、俺の身体じゃねえか! だって、俺……」 「だから君とじゃないって言ってるだろ? 確かに身体は同じかもしれないけど、キスぐらいで文句言わないでくれないか」 「キスぐらいって、てめえ……」 「だから! 君とじゃないから! 君なんかとするはずないだろ?」 「したのかっ?」 「当たり前だろ。この状況でそんなことも解んないのか?」 そんで床に落ちてたTシャツも拾って、俺はやたらと白くて細くて薄い石田の身体を凝視することしかできなかった。 いや、石田だ。そんくらいは見りゃわかるんだって! 「もういいだろ? さっさと君は服着て帰れ」 「って、何で俺、服着てねえんだよっっ!」 「普通は服を着たままでしないだろう?」 「したのかっ!?」 って、したのかよ! いや、ちょ、待て! 俺の断りもなく、なんでてめえらそうなってんだよ! つまり、最期までやっちゃったって、やっちゃったのか!? 俺、もしかしてもう卒業しちゃってんのか!? 知らねえぞ! 俺、そんなこと知らねえ! 「したからに決まってるじゃないか。だから君も早く服を着ろ」 立ち上がって偉そうな顔で俺を見下ろして……なんなの? どう考えたって俺今全力で被害者なんじゃねえの? だって、俺知らねえよ! せめて覚えてるならまだしも、記憶も一切ねえのに、なんで俺が……! 「僕は風呂に行くから、君は勝手に帰って……んっ」 突然石田が、顔を歪めた。 「へ?」 「ちょ、見るな、変態!」 見るなって、言われてつい目を下に向けたら、色気のねえトランクスの隙間から、真っ白な太腿にどろりと白いものが伝って……。 「ああああ悪いっ!」 いや、悪いって、いって顔を壁に向けたけど、違うだろうが! そんなもん見せんじゃねえよ、精液とか死ぬほど見たくねえよ! ……いや、つまりあれ、俺のか!? 俺のってことだよな? 慌てて石田が背を向けて台所の奥の扉の向こうに消えていった……扉は乱暴に閉められた。 「じゃあ、黒崎、帰れよ!」 わざわざ石田が扉を開いて、俺にそれだけ言うと、再び音を立てて扉がしまってから、後はシャワーの音が聞こえて……。 あれって……今のって……マジか。 それが、何だか解って……青ざめたかった。青ざめるべきところだ。赤くなってどうする俺! これは石田なんだ。俺だってそんくらい知ってる! けど! なんでだよ! なんで石田なんだよ! なんで石田で俺が反応してんだ! いや、童貞な俺にはいくら石田だって、やたらと細くて長い綺麗な足にそんなもん流れてたら、刺激が強すぎて……いや、つまり俺は知らないうちに卒業しちまって……。 俺は、帰ろうにも帰れない自分の下半身の状態を見て、本気で頭を抱えた。 了 20130716 2400 だいぶ昔に書いたやつ。白亜の闇とは全く関係はありませんが、白崎×雨竜がどうやら好きみたいです。 |