【ラジカル】07 







 あれから、休み時間の度に他のクラスの女子が廊下に溢れる。何だかよく分かってない石田が俺に話しかける度に黄色歓声が上がった。俺もどんな噂になってんのかはよくわかんねえけど、それでも何やら噂の渦中にあるのは俺だってわかった……俺と、石田。

 廊下から反応が上がるたびに石田が驚いていたけど……。
 何だかよくわかんねえけど、チャドに話しかけても、特に反応無かったし……。石田と接触した時だけ、クラスの女子も俺達見てニヤニヤしてやがる……のって一体……何だよ。


 そんな日が続いて……

 一週間も経たないうちに、隣のクラスの女子に、昼休み呼び出された。

 校舎裏。
 女子だからって、油断してた。日陰になってて、焼却炉しかねえから窓から何か落とさない限り誰も来ないような場所で、一体何の話だろうかって……ついて行ったら告白された。


「私、ずっと黒崎君が好きでした」

 その子は、ちょっとタレ目の、肩までの髪のおとなしそうな可愛いい女の子だった。

「覚えていますか? 私が教材運んでた時に落としちゃって……黒崎君が、一緒に拾ってくれたんです。あの時から、黒崎君が好きでした」


 覚えてねえけど……。

 でもすげえ、嬉しかった。
 俺の事好きになってくれるなんて……なんか、つられて俺まで顔が赤くなった。


 嬉しかった。浮かれてその場で俺も好きになりそうなくらい可愛い女の子だった。
 当然、石田に惚れてるなんて気付く前なら……だけど。
 今、俺は今石田の事しか頭にねえから……。石田と付き合いたいとか、今はまだそんな次元じゃなくて、思ってるほどに思ってるわけじゃねえけど……告白しようとかも考えてねえけど、今はまだ石田と一緒に居るのが楽しいから。

 だから、まだ石田て友達で良いけど……石田が好きなんだ。

 好きな奴いるから。
 この気持ちのまま、誰かとなんか付き合えねえし。そんなこと無理。今石田以外の奴を好きになることなんか考えらんねえ。

 だから……ちゃんと言わないと。




「あの、俺……」

「好きでしたけど、応援します。石田君と仲良くして下さい!」




 って、



「え?」



 ええぇえっ!?



 女子は頭を下げてから、走り去った。

 その後ろ姿を立ち尽くして見つめる俺………





 なんじゃそりゃっ!


 いや、アンタに言われなくても末永く石田と仲良くする気満々だけど、何だ?

 何で、石田?







 ワケわかんねえまま教室戻る。まだ弁当食ってない。そんな時間かかんなかったから、屋上に行けばまだみんな食ってる最中だろう。だから、教室に弁当取りに戻った時に……。

 女子が固まって楽しげに弁当食ってた。それはいつも通りの光景だったけど……。

「なあ」
 声かけると、俺に気付いて無かったのかすげえ驚かれたけど……でも、俺の話してたよな、今。

 俺の名前聞こえたぞ! さらに、俺と石田の話をしてたよな?




「なあ、ちょっと訊きたいんだけど……」







20121212