【迷走台風】14
キスをしながら、阿散井の唇が下に降りてきて、首筋、鎖骨を辿り、ちゅ、と音を立てて身体を吸われる。ちょっとだけ、痛かった。 痕が残ってしまう……。 明日、体育あるのに。着替える時どうしよう……そんなことを考えながら、僕は阿散井の身体に腕を回した。 きっと明日後悔することを分かっていながら、でも何故か止めて欲しくなかった。普段なら、痕を残す前に気が付けば頭を叩いてでも止めるのに。今は阿散井の唇の動きを感じていたかった。 いつの間に僕は脱がされていたのか、阿散井が躊躇いもせずに僕のを口に含んだ。 「あっ………」 ぬるぬると阿散井の口の中で僕のが嘗められている。温い温度に包まれて、キツく吸われる。 唇でしごかれると、我慢なんてできなくて、 「あっ……あぁ……ん」 先端を舌先で広げるように入れられる……と堪らない。 快活を逃すように首を降るけど、そんなんじゃ追い付かないぐらいの強い快感が襲ってくる。 「駄目、出ちゃう……離して……イっちゃう、っ………」 さすがに口に出すのは躊躇われて、阿散井の頭を必死に押し退けようとしたのに、僕の下半身にある赤い頭は、びくとも動かずに、じゅるって濡れた音がして、阿散井は僕のを吸い上げた。 「はっ……あっー―…!」 目の前が真っ白になるような、そんな感じだ。 そこから背骨を突き抜けて、頭で弾ける。 身体が跳ねて………僕は……阿散井の口の中に出した。 …………まだ、痙攣する先端から、動く度に溢れてきている気がする……そのまま、それを全部飲み込むように、阿散井は僕のを口から離してくれなかった。 「……ごめん」 「何が?」 阿散井が、顔を上げて訊いてきた………って……。 「阿散井っ! まさか、飲んじゃったのかっ?」 「別に毒じゃねえぞ」 「………っ!」 そうだろうけど。今の所、精液を服毒して死んだ人の話は聞いたことないし。いや、病気とか持ってるなら別だけど、僕は阿散井が初めてだったし、病気貰ってくる相手なんかいなかったし、大丈夫なはずだ。阿散井だって、もし僕が病気だったからって一応これは義骸なんだし、多分大丈夫だと思うんだけど……でも、さ。 「……不味く、ないの?」 飲みたいか? と言われると、見た目だけでも決して何があっても口にしたくない。ドロドロしてて、生臭いし、口にするようなものじゃないと思う、絶対に何があっても。飲まないと死ぬって究極の選択を迫られた場合は、心の中では死を選びたくなる程度には飲みたくない。 「そりゃ、美味くはねえけど……お前のだったら、勿体ねえから」 勿体無くないよ。女性と違って、男はだいぶ高齢までほとんど無尽蔵に毎日作られるんだ。 「お前も俺の飲んでみる?」 阿散井は、ちょっと笑いながらそんな事を言ったけど……、いや、絶対飲みたいとは思わないけど……確かに少しだけ、気になる。 だって、阿散井だって僕のを飲んだんだ。 「いいよ……してあげる」 不味そうだけど、案外飲めるのかもしれない。阿散井だって、僕のを飲んだんだ……だから。きっと、毒じゃないんだろう。 僕が身体を起こして、阿散井の服に手をかけると、阿散井は慌てて身を引いて、僕の両肩を掴んて止めた……何で? 「冗談で言ったつもりじゃないけど」 「いや、こっちが冗談だって! 石田はんなことしなくていいからっ!」 阿散井のデニムのファスナーを下ろそうとした手は止められた……。 「俺はお前が気持ち良くなってんの見るだけで興奮すっから、大丈夫だって」 「僕だけされて、自分はされたくないの?」 僕がバナナ食べてただけで反応してるくせに。 僕は阿散井にしてもらって、気持ちよかった……だから……って思うの変かな? 僕だけ気持ち良くなるなんて、なんか不公平な気がする。 「いや、されたいかされたくねえかっつうと、そりゃシテ欲しいけど……」 「僕が、してあげたい気分なんだよ」 同情、なのかな。 阿散井に同情してるのかな、僕は。阿散井の気持ちはわかるから。好きな人が居て、その人の心が自分の物じゃない気持ちは、理解できるから。 だから、きっと同情なんだろう。 でも同情でも、僕は阿散井を気持ち良くしてあげたいって思った。 「無理しなくていいからな」 そう言って………。 阿散井がデニムのファスナーを下ろして、下着の中から……… 取り出した、ソレは…… 忘れてた。 そうだ、バカでかいんだ、コイツのは……… 眼前至近距離にあると、圧巻だ……からって、これ、入るのか? 口の中に。 長さもアレだけど、太さも十分……僕のと間違っても比べたくないような大きさで。 男はデカイ方がいいって、誰が決めたんだろう。男としてのアイデンティティー以前にこれはただの凶器じゃないのか? 霊体での阿散井のそれを見たことなんてないけど、擬骸は忠実に再現されてるらしいから……つまり、忠実に再現する必要のないところまで再現した、この擬骸を作ったどっかの馬鹿が馬鹿だったのだろうか。 いや、何度も自分の中に入れておいてそう言うのなんだけど……やっぱり適量ってのはあると思う。 「石田、無理なら……」 「無理じゃないっ!」 いや、無理……じゃないのかな? 改めてみると、やっぱり無理かもしれない。反射的に対抗意識を燃やした僕は馬鹿なんじゃないだろうか……馬鹿です。 とりあえず、コレを全部は、絶対に無理だけど、でも、先端くらいなら……。 尖端……先を舐める。 つるりとした、変な舌触り。 自分だって同じ器官あるけど、さすがに、舐めたの初めてだ、から……。 グロテスクな外見に反して、味なんかない。 先を、舐める。何度か舐めていると透明な液体が割れ目から溢れてきた……変な、味。 「石田、無理しなくていいから」 「……大丈夫!」 思いきって口に含む。 ………顎が。 疲れたからって、うっかり噛んだら、泣かれるよな。 うん、あんまり考えたくないけど、噛まれたりしたら……その痛みは想像すらしたくない。 噛まないように、歯がぶつからないように気を付けながら……。 口の中にある阿散井の大きさに……顎が、壊れそうだ。 阿散井は、僕のをどうやってたっけ。 口に入れて、口の中で、舌で舐める。 括れた部分に舌を這わせる。 全部なんか絶対に入らないから、片手で握って、先っぽだけだけど、口に入れて、舐めてると、ぬるぬるした液体が口中に広がる。やっぱり、変な味。 「……石田っ!」 阿散井の息が荒くなってきているのが聞こえた。さっきまで気遣うように僕の頭を撫でていた阿散井の手が、僕の頭を押さえるような力になって慌てて手を離していた。もっと、触ってて欲しかったのに。 ……でも、感じてるんだ、僕で。やったことなくて、初めてだったけど、気持いいって思ってくれるんだ。 そう、思うと、少し、嬉しかった。僕は夢中になって阿散井のを舐めた。 「んっ……」 阿散井が、僕の胸に手を伸ばして撫で上げた……その感触に皮膚が粟立った。 「阿散井っ!」 「ここ、気持ち良いんだろ?」 そうだけど……なんて、言いたくないから睨み付けた。 「気が散る。出来ないじゃないか」 「無理しなくていいって」 「ふぁっ……!」 胸を、指先できゅっと摘ままれて、じんと身体が疼いてしまった。 「……無理じゃない」 なんか、悔しい。 僕ばっかり、こんなになって……。 阿散井は、それでも脇腹を擦ったり、指先で僕の胸を押したりしているから、体中から力が抜けてしまう。 だから……、僕も阿散井のを口に入れた。 さっきより深く。 喉の奥の方まで、阿散井のを入れて、舌で舐める。 唾液が溢れてくる。呼吸が、苦しい。 頬張ったまま、頭を上下に動かした。 僕の口がじゅるじゅると、卑猥な音を立ててる。 僕の唾液で、阿散井の下着がどんどん濡れてく。 硬くなってきてるから、そろそろだと思うけど。 ここまで頑張ったんだから、イかせたい。ここで投げたら何だか負けた気がする。 って言うか、そろそろイってくれないと………顎が。 「石田、もっ、いい」 そう言って、阿散井は突然僕の肩を掴んで押し退けた。 阿散井のが、口から抜かれた……瞬間に、顔に熱い飛沫が飛び散ったのを感じた。 → 20121031 |