【Full Moon 2】 17
なんだ……そっか。って、すごく納得してすっきりした。 難しく考えるから駄目だったんだ。 俺、引っかけ問題とか応用問題あんまり得意じゃねえの、自分でも自覚あった、そういえば。 俺のクセに、色々ぐちゃぐちゃ考えてたから駄目だったんだ。 ただそんだけだったじゃねえか。 目の前にあるものが欲しい時は、手を伸ばせばいいだけって、当たり前だろ、そんな事。 だから俺は、石田に触れた。 そっと、頬に手を置いた。 「黒崎……?」 今まで、死にそうな目に何度も在って、マジで死にかけた事だって何度もあって、すげえ怖い思いしたことある。それでも、もし死んだとしても、それでも立ち向かえる根性あるって思ってたけど。 「俺、お前に嫌われんの、すげえ怖かった」 「……黒崎、」 そうゆうのじゃなくて、死ぬかもしんないって怖さじゃなくて、凄く怖かった。嫌われるくらいならって……。 「お前に嫌われたくなかったんだ」 ベッドに座った石田の顔が見たくて、俺は、石田の前に膝をついた。 うつむいた石田と何とか視線合わせたくて、下からのぞき込むと、石田は不思議そうな顔で俺を見ていた。 眼鏡の奥の目は、赤かったけど。ちゃんと俺の声、届いてるのが解った。 「お前の事、お前が血を飲んで酔っ払いみたいな時に抱いてさ。その時だけでもいいって思ってたけど……いつものお前だって抱きたかった」 「交換条件の、事か? それなら……」 「別に血なんか飲みたく無いのに、俺が近くに居るから苦しいんだろ? その上に、交換条件とか言ってお前の弱味握った気になって、馬鹿じゃねえかって思ってた。血を飲んでたお前がエロすぎて我慢出来なくて、そんな条件持ち出してさ」 条件とか、ただの言い訳なんだ。 俺に都合がいいように出してきた、言い訳なんだってことぐらい、気付けよ、馬鹿。 「俺は、ただお前に好きになって欲しかっただけなのに」 膝の上で握られた石田の手を上から握る。 冷たくて、少し、震えてた。 「……黒崎、それは」 「別々に血を飲まれて気持ち悪いだなんて感じた事ねえよ。俺がそんな事程度で石田に嫌な思いさせたくなかった」 「黒崎、」 「俺、お前の事、俺好きだ」 「……」 「だから、お前さえ良かったらさ」 「……黒崎」 交換条件じゃなくて、条件なんて関係なくて。 「セックス、しよ」 → 20111227 |