04(※ここから先は性的な表現が含まれます。18歳未満のお客様は閲覧いただけません)























 どんな、顔してんだろ、今、こいつ。ふと、そんな事を思った。こいつの、余裕をなくした顔が見たかった。

 腕を掴んで、無理矢理立たせる。顔が見たい。いつも済ました顔したこいつの、余裕のない顔が見たい。


「……や」

 や、じゃ、ねえだろ?
 誰が気持ち良くしてやったと思ってんだ。イったんだろうが。


 腕を掴んで、持ち上げた桂を、また壁に押し付ける。
 肩まで肌蹴た胸元が露になる。屹立して充血した胸が、見えていた……食べてみたいと思えるような……。


 今度は顔が見えるように、こっち向かせ、下を向いて……。



「顔、見せろよ」
「………」

 下を向いたまま………。


 顎を掴んで、持ち上げる。


「………ぁ」

 濡れた、瞳。



 ぼんやりと俺を映していた。



 ゾクゾクした……。


 この顔が見たかった……そう、思った。
 この顔が見たかった。いつも居丈高な視線で、身長なんか俺よりも低いぐらいなのに、見下ろすような視線で……それが鼻についた。そんな奴が……。

 今、俺の手管で、顔を上気させながら、涙溜めて、俺の事を見てる……。

 その瞳に……俺が、映ってる。
 こいつのこんな表情、今まで見たこと無かった。俺が、引き出してやった。

 征服感? 嗜虐心……どれだろう。

 ずっと、捕まえてやりたかった。捕まえて、その時にどんな顔して掴まんのか見てみたいと思ってた、ずっと。悔しそうに顔を歪めるのだろうか……それとも表情を変えずに? もしかしたら、今まで通りの見下した表情を投げてくるかも知れねえって……だけど。

 この、顔は俺が今引き出してやった……。


 潤んで虚ろな目。
 赤く、上気した頬。
 緩んだ口元からはだらしなく唾液が零れて……。



 俺も……限界だった。
 早く、中に入りてえ。

 指先で感じた温度に……包まれるんだとしたら……考えるだけでも、意識、持ってかれそうだった。




 くたりと背を壁に預けた桂は、もう、抵抗すらしなかった。

 上半身を、殆ど剥かれて、白い素肌が露になっている。帯で着物が身体に絡み付いているだけで、服の役割を果たしてない。
 女じゃねえのは解る。
 そんなん初めっから知ってた。
 別に俺は男の身体なんかには、何の興味もねえ。そっちの趣味はねえが……


 それでも……。


 自分の、取り出して、桂に握らせた。
 細い指先が、俺のを掴んでるのを見て……、興奮した。剣を握り俺と対峙したこともあった……その指が、俺のを握ってる。
 桂はそれに、視線を落としていた。


 ……もう、限界。






 桂の片足を服の間から探し出して、持ち上げて、肘に掛ける。

 大きく脚を開かせて、片足でバランスが悪いのか、桂の手が俺の肩を掴んだ。


「しっかりしがみ付いとけ」




 さっき解した穴を見つけて……




 一気に、捻り込んだ。


「……あ…ぁっ!」







 白い、首筋がのけぞる。
 長い黒髪が揺れた。




 熱い……熱くて、思考さえ溶ける。

 中のうねりに意識が持ってかれる……絡みつくような、熱さ……。熱くて。溶け出す。
 溶けて混ざり合う。意識が空気に混ざってく。ここが、どこだか、わからなくなって、ここしかなくなるような狭小な意識を自覚も出来ねえ。



「……あ……あ、あ、ぁ」

 俺は、夢中で腰を動かした。
 桂の身体を刺し貫くように、突き入れた。



「……や……ふぁ……んっ! ……あっ」

 押し入るたびに、桂が赤い唇から湿った喘ぎを漏らす。
 その声に煽られるように俺が腰を動かす。

 何度も、ぎりぎりまで出して、桂の身体を落とす、その往復を繰り返す。
 奥まで感じたくて……。


 限界まで、突き入れた。

「あっ……!」

 一際高い声を上げて、桂が俺にしがみ付いてきた。
 びくびくと、中が脈打った。

 桂から、白い体液が勢いよくあふれ出す……



「くっ ……」

 波に……持ってかれる。



 


 急激な収縮に耐え切れず、俺は桂の中に、吐き出した。
 




 
 目の前が、ちかちかする。








 呼吸が整わない。



「……あ…、…」


 ずるりと抜くと、桂は支えを失ってずるずると壁を伝ってその場に座り込んだ。




 さっきまで夕刻だったはずなのに、空はいつの間にか暗くなっていた……。

 だいぶ、我を忘れて無茶なことしちまったって、自覚はある。





 男なんかに……ましてや桂なんかに……。



 桂を、見下ろす。
 見下ろしたことなんかねえ。いつも屋根の上に逃げんのはそっちだ。こっちは地面で追いかける他ねえ。


「土、方……」


 座りこんだ桂が俺の顔を見上げて、名前を呼んだ……薄く、開いた唇から、吐息が漏れ出すように、俺の名前を呼んだ。かすかな声だったが、聞こえた。

 皮膚が、粟立つような……。



「土方」


 もう一度……桂が俺の名前を呼ぶ……。
 その赤く濡れた唇から、俺名前が、吐き出された。


「桂……」


 視線を、合わせるために、俺も座り込む。


 桂の手が……伸びてきて、俺の首に巻きついた。体温が熱い。

「土方……」

 吐息が、耳にかかる。
 まだ、身体中が熱い。


「土方……もっと、欲しい」


 耳朶をくすぐるような、熱い吐息が、耳から身体の芯に吹き込まれた………。





「桂……?」


「もっと、してくれ」


 とろりと溶け出すように潤んだ瞳が、俺を見てた……。

 こいつが、敵だって自覚はある。そんな事は俺達には大前提だ。
 が……

 逆らえねえ。
 この目に逆らう事なんか、出来やしねえって……そう、思うような……眼差しで。


 欲しいって……俺のこと、欲しいって? もっと気持ちよくして欲しいって?




 何で、俺が、てめえの欲しがるもん、やる義理なんかあんだよ。

 俺が、主導なんだ……俺が、まだてめえを犯し足りねえんだ。

 だから……











 ここ……外じゃ嫌だとか寝言抜かしやがった。
 一応、塒として使ってた場所らしくて、桂が出てきた扉を開けると、いつから使われなくなったか……埃臭い、物置。高い位置にある窓には障子すら無く、屋根がついてるだけって、本当にただの物置。

 そこに、二畳ぐらいの畳。


 中に入った時に、桂の手下が居るんじゃないかとか、そんな危惧は頭の片隅にはあったが……。



 俺も、理性なんかぶっ飛んでた。
 もっと、やりたくて、たまんねえ。
 中に突っ込みてえ、って、それだけで、殆ど動物的な欲求だけに頭ん中支配されてた。



 空いてる場所に桂を転がして、俺のでぐちゃぐちゃに濡れた場所に、何度もまた注ぎ込んだ。
 何度も突っ込んで、その度に桂は女みたいに悲鳴に艶の混じった声を上げてた。
 奥を突くたびに、先端からとろりとした体液を滴らせてた。


 その痴態見てるだけでも、その顔見てるだけでも興奮して、結局何回やったんだ?






 最後の記憶は、俺に馬乗りになって、桂が自分から腰振ってたことだけ………。



















 ………目を、開ける。



「なんだ、もう起きたのか」

 ぼんやりと、焦点を合わすのに、まず苦労した。





 ふと、気付くと、桂が服に袖を通しているところだった………って……え?
 いや、何コレ? 覚束ない頭で、考える。事態が飲み込めねえ……。


 桂は襟をぴしりと正して……いつもの桂の服だった。いつもの、桂がそこに居た



「何なら、もう一勝負するか?」

 笑顔は……いつもの上から見下したような、癪に障る、あの、いつもの桂の……え?


 てか……限界まで、出し切って、まだ動けねえ。本当に精魂尽き果てた、疲れた。
 俺、今どんだけ記憶飛んでた?

「てめ……」
「若いからといって、そんな抱き方では女に嫌われるぞ?」

 何、こいつ……。

 あんなに、イったのに……俺よか出してたろ?
 自分から腰振ってたし……俺、ちょっと疲れて動けねえんだけど、何でこいつこんなに元気なの?

 いつもより、少しだけ高圧感は薄れてたが、それにしたって……。


「化け物」
「蹴られたいか?」

 化け物だ。あんだけやって、いつも通りだなんて。


「今、この場でどっちの立場が上か、わかっているだろう?」

 俺の顔を、見下ろしやがって……。
 不敵な笑みを浮かべやがって……。
 不敵、というよりも、むしろ爽快に笑ってやがった。さっきの俺の立場だった分、余計にムカついた。


 この野郎……。


 いや、確かに、俺の負けだ。








「土方、解っているのか? 今、この場でお前を殺す事など容易かったぞ」



 本当だったら、歯軋りの一つでもしてやりてえとこだが……事実、そうだ。
 悪いが、今この場で勝負になったら、俺は勝てる自信ねえ。てか、動ける自信もねえ。マジで化け物。あんなに大声上げて、演技だとしたって……いや、俺よりイった回数多かった……演技でそんな事できねえ、出来たとしたって疲れるのは代わりねえ。









「でも、まあ……貴様のここに免じて、今回は見逃してやる」


 桂が、俺のを見下ろして、軽く笑った。あー…、服どこやったけ。
 そいやあ、さっき女物の服着てた桂だが、さすがに汚しちまったから、着られなかったようで、俺が歩いてて見つけた時の服を着てた。それでも……今の桂は、男だ。いや、女物の服着てたって、男だってのに変わりはねえが。

 唇を湿らすようにして舌が少し覗いたのが見えたのを見て……も、反応も出来ねえ。さっきまでだったら、誘ってんじゃねえ? って思うようなしぐさだったが、もう無理。

 これから一週間ぐらい、どんなグラマラス美女の据え膳目の前にしても役に立たないぐらいは酷使した。

 本当、動けねえ。





「じゃあ、また捕まえてやる」
 また……逃げられんのか、とか思ったが……今回は完璧に俺の完敗。いや、捕まえられるからって調子に乗ったのが敗因だろうが。

「お前に出来るのか?」

「次は絶対逃がしやしねえ」
 捕まえてやる。逃げられたら何度だって捕まえてやる。てめえをぶち込むまで、何度だって捕まえてやる。



 桂はピンと伸びた姿勢で、扉を開けた。一度だけ俺を振り返った。
 外は真っ暗だ。
 今、何時なんだか。





「次は、もう少し勉強をしてくるんだな。しつこいと嫌われるぞ」

 そう、言い残して、桂が扉を閉めた。








 次なんて、あってたまるか。

































090308
誤字
余裕をなくした顔が見たかった → 余裕をなくしたか拝みたかった どんな二択……?

桂さんは、何かお仕事で女装してたって、行を入れる場所がなかった。
エロシーンはたいていか感情ぶち込みながら書くのがクセだから、一切ないただのエロを書いてみようという試み。で、何故土ヅラ子……。

土桂は、大して好きじゃ在りませんが、土ヅラ子は、銀桂と同じぐらい好きです。何故か。

ヅラは、淫乱で、化け物並みの耐久力があっていいと思う。
こんなオチすみませ


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