さっきから聞いてりゃ、エリザベスって白い変な生物のノロケ話をいつまで繰り返すつもりなんだろうか、この馬鹿は。
隣に座って、何やら一生懸命に俺に話しているが……せっかく久しぶりに二人でゆっくり出来んのに。
別に、聞いちゃねえけど。返ってきたドラゴンボーズ読み返してるだけだから。
ヅラの話なんざいちいち聞いてねえけど、やっぱり言葉の端々に、俺以外の生物の名前が入るのが何やら気にくわねえ。ってゆうか、はっきり言ってむかつく。
「その白いお化けのどこが好きなの?」
「お化けではないエリザベスだ」
「んで、それのどこが好きだって?」
オレはあのいかがわしい生物は好きになれませんがね。
「だって何か、白くてふわふわしているではないか」
「……あっそう」
「定春殿も愛くるしいが、やはりエリザベスのつぶらな瞳には……」
はいはいはいはい。飽きた。
いや、もういいって。いいから他の事しません? せっかく会ったんだし。一ヶ月ぶりよ? 最近オレの仕事忙しかったりそっちの何やらが何やらだったりで、ヅラはちょくちょく来るけど、ぜんぜんゆっくり出来なかったし。
だからもう他の事しません?
「銀時も、白くてふわふわで好きだぞ」
「ソコっ!? 俺のチャームポイントってソコっ!?」
「初めて銀時を見た時は、胸が高鳴ってな。これが恋かと思ったものだ」
「………」
駄目だ、こいつ頭が沸いてる。
そんなんいいから、こっち来なさいよ。
腕掴んで、引き寄せる。
今、目の前にいるの誰だ? 俺でしょ?
抵抗もせずにすんなり俺の腕の中に納まったヅラは、それでも少しだけ不服そうに俺の胸の中に顔を埋めた。そうやって大人しくしてりゃ、本当可愛いのにねえ。てか喋らなけりゃ、本当よっぽどの女じゃねえと太刀打ちできないような、綺麗な面して、何でそんなに馬鹿なんでしょう。空気読めよ。せっかく一緒に居んでしょ。
「もし万が一、俺と白いのと、どっちか片方しか助けられない場合があったとしたら、お前、俺の事助けてくんねえだろ?」
「無論だ」
………何、その即答。
いや、そりゃね、お前がそういう奴だって知ってから、どうせそういう答えになるって思ってるけど、実際その場面になったら俺だっててめえに助けられるような無様な真似したくねえけど。お前は俺を助けるような奴じゃねえって知ってますけどね!
それにしても、その即答は傷つくなァ。
いや、ちょっとグサッと来ましたよ。嘘つけるような奴じゃねえから、そりゃね、俺を選ぶはず無い奴だけどね。
「じゃあ、石井と俺は?」
「石井」
「じゃあ、田中と俺は?」
「田中」
「じゃあ、高杉と俺は」
「……高杉」
「じゃあ………」
俺が思いつく限りの、俺とヅラとの共通の知り合いの名前を挙げていく。ガキの頃同じ所でお勉強した奴とか。
高杉の時だけ、一瞬止まったけど、結局俺は選ばれませんでした。はい畜生。
何それ、地味に傷つくんですけど。
解ってるけど、地味にちょっと心が、ね、その言葉の鋭さにざっくりと抉られたように痛むのは気のせいでしょうか?
「ひでー」
「何がだ?」
「結局俺の事助けてくれないんだ?」
「お前は助けずとも自力で生きればいいんだ」
「……そりゃそうですけど」
でもね、少しは躊躇ったり、一瞬考えたりとかしてくれりゃ可愛いかなって思ったわけですよ。そう思ったわけですよ! いや、解ってるけどさ……。
「でも、まあどちらかを選ぶのであれば、迷わずお前以外を助けるな」
「はいはい」
もう、やめよーぜ、この話。いや、こっちから振っといて何だけど。うん、いや、まあお前はそういう奴だけどさ。
もう、別にいいって。お前はお前の姿勢貫きゃいいし、俺はどうせそんな前しか見えてねえお前に惚れてることぐらい自覚してっから。
攘夷運動が大事で、今のご時勢愁いていて、そればっか見て、昔からそればっかで、確かに俺達はずっと共に育って共に戦って、ずっと長いことほとんど一つでいると思ってた。
だからさ、お前の考えてることぐらいわかるって。
でも、まあ嘘でもいいから、いや、できれば本心で、俺の事無くしたくないなー、ってぐらいは言ってくれても罰あたんねえと思うぜ?
いや、せめてほんの少し考えてくれたってよくね?
いいけどさ。ちょっとヅラがペットの事可愛がりすぎるから拗ねてただけですって。ちょっと俺の方見て欲しかっただけだって。そんで、あわよくば甘えたかっただけだって。
いきなり味噌汁味のアレとアレ味の味噌汁比べさせるような真似して悪かったな。
「だが助けた後で、出来る限り早くに、お前の所に行こうと思う」
「へえ、そう」
081119
どうしても書きたくなって30分で書いた。ぜんぜん書き足んないけど、急いで出かけなきゃ!!!
読み返してないから、帰ってきてからとりあえず考える!
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