「んふっふっふ」
「んだよ、気持ち悪ぃ」
「今日が俺の誕生日だから、三ヶ月くらいは俺の方が年上だ!」
「ん、よかったねオジサン」
「ああ、三ヶ月は俺を敬え。年長者には敬意を払うべきだ、な。銀時」
「たかだか三ヶ月ちょいで威張んな!」
「そのたかだか三ヶ月は、俺の方が年齢が上なんだ。三ヶ月は大きいぞー! 一年の四分の一だ。季節が入れ替わる。俺は夏前だがお前は秋だ。でかいぞー」
「でも俺、誕生日知らねえし。もしかしたらお前よか年上かもしんねえだろ?」
「ないな」
「なに、その即答。どこに根拠があんだよ」
「根拠もないな」
「てめえが法律だとかぬかすんじゃねえ」
「いや? お前が10月10日が誕生日だって決まった瞬間からお前はその日が誕生日だと決まったんだ」
「だから、てきとーにつけられたんだって」
「だが決まったもんは決まったんだ」
「年だって上かもしんねえだろ?」
「ああ。下かもしれん。それに先生が、俺と同じくらいだと仰ったから、同じで良い」
「なにそのてきとー」
「何か不服か?」
「……別に」
「まさかこの年になってまで、誕生日にお前が横にいるとは思わなかった」
「それ、俺の台詞」
「このままジジイになった時に同じ台詞を言っている気もするがな」
「……不本意ながら同意」
「お前の誕生日にも会いに来てやろう」
「……うざいんですけどー」
「不服か?」
「別にぃ」
「銀時、何を拗ねてるんだ?」
「……拗ねてねえ」
「では何で機嫌が悪いんだ?」
「悪くねえよ!」
「そうか? 俺はてっきり、俺が今日最初に祝いの言葉を言われたのがお前じゃなかったって事に、お前が拗ねてるんだと思ったが」
「っ……んなわけあるか! お前自意識過剰なのは一年経っても変わらねえな! 成長しろ、成長! お前が勝手に今来ただけだろうが」
「そうか」
「そうだって」
「俺が来た時にリーダーと新八君しか居なかったのは、俺のうちに行って俺と行き違いになったのかと思っていたんだが」
「っ!!」
「ただの図星か」
「ちげえよっ! てめえが一番に俺に祝いの言葉を言われたかっただけだろうが!」
「……そうか?」
「そうだって」
「じゃあ、それでいいや」
「んだよ、それでいいって!」
「どちらにしても、まだ聞いてないな」
「……」
「ちょ、銀時っ! 何だ?」
「るせえ。黙っとけ」
「苦しいって! 殺す気か? 肺が潰れるだろうが」
「黙れって!」
「…………」
「黙っとけよ」
「……」
「ヅラ、あのさ……」
「ああ……ようやく言う気になったのか?」
「………あー、言ってやろうと思ったけど、もう言う気なくした」
「解った。黙る。静かにしてる。さあ、言え」
「もう言わねえっ! さっさと退け」
「お前が引っ張ったんだろうが」
「はいはいスンマセン。重いから退け」
「解った、聞くまで動かん。聞いたら退いてやろう」
「……じゃあ」
「ああ」
「………」
「…………」
「……………」
「………………」
「……来年言うわ」
「……なんだそれは! 男らしく言え。覚悟したんだろうが、ほら言ってみろ。ちゃんと聞いててやるから」
「嫌ですー、言いませんー」
だって、言わなかったら、ずっと居てくれるんだろ、ここに。
了
20130716
1200
だいぶ遅れましたが、ヅラ誕文。2010年に書いたやつ発掘されたんで、アップ。
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