デート 06











 神楽を新八んとこに急遽預けて、家で仕切り直しして……。

 さすがに三時間以上ぶっ通しで腕立て伏せとか腹筋やってりゃ、体力も限界だった。




 ヅラもうつ伏せになって、荒い呼吸してるし……俺も同様。





 汗とか精液とかで、身体中ベトベトだわ。





 まあ、でも。

 一応、やっぱり。



「……なあ、ヅラ」

「…………」


「説明してくれるよな?」


 訊いておかなきゃまずいだろ? 一応こういう関係を持ったって事は、そう言うつもりだろ? そりゃ感情が伴わなくても出来るには出来るけど、一応俺との関係でそんなデリカシーのないことしないって自信はあったから。

 一応、聞いておかなけりゃ、まずいだろ?


「…………」

「俺には聞く権利、あると思うんだけど……」

 本当は甘い空気で、汗でちょっと気持ち悪いのとかすっ飛ばして、やった後の心地良い疲労感と共に抱き締めたりキスしたりとか、そういう事後の甘ったるい感じが好きなんだけど。

 本当はそんな事訊きたくもねえけど、やっぱなんかすっきりしねえし。



「……状況で察しろ」

「無茶苦茶言うんじゃねえよ! 解るかよ!」


 悪いけど、俺一人でおいてけぼりだったんだけど……何、あれ? なんであのマヨネーズがヅラと知り合いなの? しかも女装姿で? 俺、お巡りさんに追いかけられるようなお仕事はしたくないんですが、結局意味不明に警察の人絡んできたけど、一体なんだったの?

「………」
「…………」

 睨み合う事数分。


 根負けしたヅラが折れたと解ったのは、小さく吐き出されたのは呼吸ではなく溜息だったから。溜息吐きたいのこっちだって。




「……最近、食うのも困るくらいに生活が厳しかったから、時給の良いカマっ娘倶楽部で時々バイトしていた」


 ……うん。そうか。ちょっと前に手土産のグレードが落ちた時あったよな。そん時か。


 んで、ヅラが言うには、金がないし、西郷にも恩を売っときたいし、でバイトしてたら、上司の付き合いとかで土方が店に来て以来、気に入られて、求婚される勢いだったらしい。しょっちゅう来るし、いい加減桂小太郎だとバレても都合が悪いから、諦めてくれるように恋人が居るったら、合わせろってさ。


 ……で、今日の依頼なわけですね。なんで、ヅラが女装するだけで気付かないのかは謎。そもそもオカマバーで働いていて、男だって知ってて、なんでこれが桂小太郎だってわかんないのか不思議でなんねえ。やっぱりマヨネーズは脳細胞破壊する食い物なのかもしれない。



「だから、今日一日、土方に会うために真選組の巡回コースを回っていた」


 だから、行く先々に黒い服来たチンピラみたいな人達がたくさん居たってわけですか。

 結局、俺は使われただけだったのね。ホテルの時間は土方がだいたい休憩時間だって事らしい。周到な事で……ていうか、そんなんこいつに話していいのか? 


「やはり、カマっ娘倶楽部は諦めるか。時給が良かったのだが」

「…………」

 てめえ、俺の知らない場所で、知らない男に媚売ってんじゃねえよ! そんなバイトやめちまえ。って言っても、俺が養ってやれるわけじゃねえけど。


「だが、銀時の気持ちも解ったし……」

「………ああ、まあ」


 お前の気持ちも解ったわけだし……ずっと、変わらない気持ち互いに向けてた事に気付けなかっただけだって事は、ようやく解ったわけだし、お互い。



「銀時」
「ん」

「俺は、お前の事を忘れた事など一度もない」


「そっか」


 俺だって、おんなじだよ。


「お前への気持ちが褪せた事など、一度もない」

「……そっか」


 俺もだ、って、言うのちょっとやっぱり恥ずかしいから躊躇って、だけど気持ち同じだから。って、言う代わりにヅラの身体、引き寄せて、密着させる。

 ずっと、さ。こうしたかった。昔は当たり前だったのにな




 ずっと近くにあったのにな。

 ただ、手を伸ばせば良かっただけじゃねえか。


 汗かいて、冷えた肌。気持ち悪いけど、やっぱりお前の皮膚気持ちいいわ。






「一つだけ、訊いていい?」

「何だ?」





「さっきさ土方が『お前もヅラ子さんと』ってたよな」




「…………」




「も、って、何?」




 確かに、あのニコチン中毒は「てめえもヅラ子さんと……」って言いやがった。

 その瞬間にヅラが邪魔しに入った。


 まさかとは思うけど……







「てめえ、もしかして……あの男とやったの?」








 俺は、こんな焦った顔のヅラを見たのは、初めてかもしんねえ………。


































20110216
ノリだけで書いた